メキシコのチアパス州の先古典期


●先古典期前期
 メキシコ南東部の太平洋岸にテコマテを主体とする土器の文化が B.C.1500頃に出現する(図2-4-1、A)。その後、B.C.1200年頃出現するオコス文化がメキシコ湾岸まで含めて広範囲に広がる
 図2-4-1
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●最古の土器
<バラ(Barra)文化層の土器>
  この地方最古の土器は、オコス文化層の下層にあるバラ文化層(B.C.1800-B.C.1700年ごろ)であり、メキシコのチアパス州のアルタミラ遺跡で確認された(図2-4-1、A)。最近の発掘資料と放射性炭層年代の増加に伴い、 B.C.1500-B.C.1400に修正されている。
 バラ文化層の土器は薄手のテコマテを主体とするオレンジ系の素焼きのもので、口縁部に刻線文を持ったり、胴部全体に刻線文を施し、口縁部だけ無文にするなどの装飾が見られる(図2-4-2、B)。
<オコス文化層の土器>
 オコス文化(B.C.1700-B.C.1500頃⇒現在は、 B.C.1250-B.C.1000頃に修正)は、グアテマラのラ・ヴィクトリア(La Victoria)遺跡を標識遺跡とする文化であり(図2-4-1、A)、バラ文化と比較して器種や文様技法に複雑さが増している。
 テコマテと平底の碗あるいは皿の器種が主であり(図2-4-2 C、D)三足テコマテが出現する。三足テコマテは、チアパス州太平洋岸のアキレス・セルダン (Aquiles Serdan)やパソ・デ・ラ・アマーダ(Paso de la Amada)遺跡、グリハルバ川上流のエル・カルメン(El Carmen)遺跡などでも知られている。
 文様のつけ方には多くの技法がとり入れられ、ロッカー・スタンピング文(二枚貝の湾曲した縁などを土器の器面上に前後に歩かせたときにつく、ジグザグ文様)、沈線文、などが出現する。また特殊な虹彩色を持つ土器も発見され南米のエクアドルやペルーとの関係も指摘されている。
 また、オコス文化からは大腿部や胸部を強調した女性土偶も出現している。
 図2-4-2
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●まとめ
 オコス文化は、グアテマラやメキシコのチアパス州の太平洋岸を中心としてチアパス高地(図2-4-1、B)やベラクルス州(図2-4-1、C)などのメキシコ湾岸地域まで広範囲に広がる文化である。ベラクルス州のサン・ロレンソ遺跡は、オルメカ文化で有名な遺跡であるがオルメカの文化層の下にオコス文化層が認められるので、オコス文化を担った人々はオルメカ文化の先行者であった。
 また、その土器の特徴は、上述したように南米の北部文化と強い関連があることが指摘されている。このことは、当時、海洋技術をもった人々が非常に広範囲に活動していたことを示すものであるかもしれない。