第1章 豊かさの課題

 富山を考える出発点として、富山が全国の中でどんな位置にあるか、各種統計指標を整理検討する必要がある。
 このため、本章では、社会生活統計指標(総務省)、新国民生活指標(内閣府)を利用して、富山の特色を探り、仮説として地域の諸課題を提起する。

第1項 富山の豊かさ
 地域を総合的に捉えていく出発点として、総務省の「社会生活統計指標−都道府県の指標−」から、富山県の値が平均値から乖離した指標を列挙し検討する。
 これによって、富山県の特徴として、空間的なゆとりを持った居住、互いに支えあう大きめの家族、二次産業に特化した産業、降水の多い気候などが見えてくる。

第2項 富山の地域構造
 富山の統計指標については、日本の中央部であると同時に日本海沿岸地域に位置する特色が現れている。この点は北陸地方に共通するものである。
 また、こうした地域としての特色を背景に置きつつも、富山なりの成り立ち・歴史も浮かんでくる。

第3項 豊かさの基盤の揺らぎ
 富山の豊かさの基盤は、揺らぎつつある。
 21世紀に向かっての富山の良さを生かした地域づくりのためには、広範な課題について、富山なりにその方向を探り、県民の合意を形成し、必要な対応を図っていく必要がある。


 多くの豊かさ指標の試算では、富山県は上位に位置している。
 これは、富山県民が、平坦に広がった富山平野に分散しゆとりを持って居住し、大きめの家族で互いに支えながら生活し、日本の中央部に位置し先人の努力ともあいまって産業のそれなりの集積があるためといえよう。
 ただし、個別の統計指標については、それぞれ裏返してみれば貧しさにも直結する。例えば、持ち家率の高さは人の移動を拒否している。施設の多さは経営効率の悪さを意味している。等々。
 さらに、これまでの富山県の豊かさについては、その根底から崩壊しつつあるという懸念がある。
 ゆとりある郷土は、都市集積のないまま無原則な土地利用を展開させ、弊害の多い自動車社会を出現させている。
 大きめの家族は急速に縮小しており、支え合う気風も放棄されつつあるが、代替する質の高い制度の整備が進んでいない。
 産業構造が大きく変わる中で、硬直化した中堅企業・大企業はかえって弾力的な対応ができていない懸念がある。
 富山県の豊かさについて、どのような評価を下すにしろ、社会が大きく転換していく中で、新たな富山県の方向をしっかりと探っていく必要があろう。

次頁(第1項)
次章
表紙