第4章 堅実な生活
第1節 生活の枠組みの変化

第1項 活気に欠ける生活?

やや低い社会生活の活性度
―社会生活活性度指標―

―社会生活基本調査2006年結果から―

 総務省統計局の「社会生活基本調査2006年」では、社会生活の分野を「インターネットの利用、学習・研究、スポーツ、趣味・娯楽 、 ボランティア活動 、旅行・行楽」の6つに分けて整理している。
 都道府県毎の各分野の行動者率(過去1年間の間に活動した者の比率)を比較して見ると、富山県では、ボランティア活動が突出して高い。これに対して、学習・研究は低く、スポーツ、インターネットの利用、 趣味・娯楽もやや低く、旅行・行楽は全国平均並みとなっている。



インター
ネットの
利用
ボラン
ティア
活動
スポーツ学習・
研究
趣味・
娯楽
旅行・
行楽
インターネットの利用1.000




ボランティア活動-0.3041.000



スポーツ0.781-0.0641.000


学習・研究0.931-0.1910.8541.000

趣味・娯楽0.915-0.1070.8420.9021.000
旅行・行楽0.7890.1080.6080.7020.8361.000
 各分野の行動者率の都道府県毎の統計には、それぞれ高い相関があるが、ボランティア活動のみは他と異なる性格の指標となっており相関がない。


 ここで、社会生活活性度指標として、ボランティア活動を除いた5つの分野の行動者比率を主成分分析の手法で単一指標化した値を求めた(それぞれ正規化した後、線形式で合成し、その分散が最大となるよう係数を求めたもの、結果は平均値100、標準偏差10に調整)

 この社会生活活性度指標の富山県の値は、中部圏にあってはやや低い。
 こうしたパターンは、大都市圏都府県から、地方中枢都市所在道県、本州中央部県、さらに外縁県へと順に変化する統計指標の中で、見られるものである。今後、こうした指標の相互の関連性について分析したい。


 社会生活活性度指標は、上述のとおり各分野での行動者率から合成したものであるが、ちなみに、からめ手からの説明変数として、一人当たり県民所得(千円/人)の水準及び高齢化比率(65歳以上人口比率;%)を用いると、重相関係数(R2、自由度調整済み)は、0.668となる。


 ボランティア活動の行動者率については、上述の社会生活活性度指標とは、若干の逆相関も窺えるような指標となっている。
 これは、町内会活動を始めとする地縁社会での団体行動が含まれているためであろう。「ボランティア」ではあるが、実態としては、あまり自発的でもない行動があると考えられる。


 勝手に作った指標をむやみに活用することは危ういが、取り敢えずの結論としては、社会生活活性度指標とボランティア活動行動者率の2軸を交差させた各都道府県の位置を見ると、社会生活の実態が浮かんでくるように思われる。

 さらに、この2軸で展開される都道府県の広がりと小生の各都道府県についての認識と重ねあわせると、勝手な命名ではあるが、「保守型」、「革新型」に加えて、「崩壊型」、「構築型」の地域が浮かんでくる。
 小生自身は、新しい生活指向を持ちながらも地域の繋がりを維持しいる「構築型」を肯定的に捉えたいが、その実態について十分なイメージを未だ持ち合わせていない。


(統計データ)

(Jul.21,2007)



低下した生活行動者率
―若年層の活力の低下―

 各都道府県での生活分野別行動者率の5年前からの変化を見ると、低下している項目が多い。
 インターネットについては、いずれの地域でも増加している。
 しかし、スポーツ、ボランティア、旅行については、殆どの地域で低下となっている。
 学習も低下気味である。
 趣味については、地域によって差があり全体としては横ばいといえよう。


 このような変化は、一般に行動者率の低い高齢者の増加によると解釈されがちだが、年齢階層別では、若年層での低下も目立つ。
 富山県の年齢階層別行動者率の変化について、若年層では、スポーツ、学習、ボランティアの低下が目立つ。
 これは、稼ぎのために精神的・時間的ゆとりを喪失しているのであろうか。
 また、高齢層では旅行の低下が目立つ。金銭的ゆとりが小さくなっているのであろうか。


 以上のような全国的な変化は、あまり話題になっていないようである。しかし、今後の社会変化の方向をどう捉えていくか 極めて重要な意味を持っているのではなかろうか。
 一般に吹聴される地域づくりの意識と実態がちぐはぐな状態となっているように考えられる。
 各自の就業環境から生活の厳しい人が増えていることも事実であろう。しかし、その程度を超えて、稼ぐために汲々としている人が増えているのでなかろうか。
 そして、エラン・ヴィタールを失っているのではなかろうか。
 (重要な話題だが、個人的感想でなく客観的論述ができるように、もっと学んでおく必要がある。)

(統計データ)

(Aug.31,2007.Add.)



 →2006年生活分野別行動者率都道府県地図

−−「社会生活基本調査(2001)」総括−−

 富山県における生活の各分野での行動者の率を見ると、概して活気に欠けているように見られる。
 全分野を通じて一般的には、大都市圏地域ほど活気があり(行動者率が高く)、周縁地域ほど活気に欠ける。
 こうした中で、富山県は大都市圏の周辺に位置しており、全国の中では、中間的な位置となるが、その中ではやや周縁に近いものになっているといえよう。
 なお、全国での分布状況については、各地域の年齢構成の違いから、より若い人が多い大都市圏ほど行動的になるという要素があるが、仮に、この年齢構成の影響を調整しても、全体の分布状況はあまり変化しない。

 分野別には、まず富山県のスポーツをする人の率は、都道府県中38番目と特に低い位置にある。スポーツの行動者率が低いのは、日本海沿岸地域の各県と四国・和歌山であり、天候の影響があるとされることがあるが、年間を通して抑制されてしまうのだろうか。
 勉強趣味インターネットはそれぞれ都道府県順位で全国の中間的な位置にある。しかし、中部圏としてはやや低めといえよう。
 逆に行動者率がやや高いのは、ボランティアと旅行である。このうちボランティアについては、全国での分布状況が他の分野と異なり、大都市圏で低い傾向がある。これは実際には、地域社会で連れ立って行うことが多いための結果かと考えられる。

 各分野の行動者率を年齢別に全国と富山を比較して見ると、旅行では高年齢層で、ボランティアでは中年齢層で富山が高い。またスポーツでは、高年齢層での富山の低さが目立つ。
 このような年齢階層別行動者率は、固定されたものでなく、時間の推移とともに次第に変化していく可能性がある。特に、インターネットについては、今後高齢者も積極的に利用するように変化していくだろう。
 人口の高齢化の中で元気な高齢者も増加しており、こうした人たちがもっと行動するようになると面白い社会ができてくると思われるがいかがだろうか。もっとも活気が低下していくというのが加齢の定義なのかもしれない。



 個人的には活き活きと活動する人が多いほうが楽しいと考える。
 しかし、ここで「皆んな同じように踊るべきだ」と主張するのことには再考が必要であろう。仮に論理的にその必要性が説明できるのであればそれなりに意味を持つかもしれない。しかし、現実にはいろいろな前提があり困難な面が多い。結果として各人の思考停止が始まる虞が大きい。
 自らも踊って「一緒に踊りましょう」と誘うのなら理解できる。面白がっている人がどんどんやり、あとは、透明な情報によって輪が広がるのを期待するのが考えられる活性化の方法であろう。
 こうした課題には、このような繊細な感覚を保持して臨みたい。

 この際、社会的な価値が認められると考えられる生活行動について公的に支援することはどう考えるか。
 例えば、新しい経済のあり方として各人の勉強のしなおしが重要である。あるいは、健康な社会のためには日常的なスポーツの実践が必要であろう。ボランティアなどによる社会貢献も今後の豊かな社会には欠かせない。
 こうした活動の支援の多くは、まず、民間の営利事業、ボランタリィな事業に任せることが本筋であろう。
 仮にこのままでは、地域の活性化が遅れるとして、地域として場を準備することが合意されたとしても、民間事業者との無用な競争は避け、また公的施設の整備・維持管理に関する基準を明確に、かつ透明にしていくことが重要である。
 また、行政は各種団体との連携を図ることは大切だが、団体に所属しない人を排除しないよう常に配慮していく必要があろう。

 基本は、個人個人が主体的に生き生きと活動すること、また輪を広げる努力としては、各自なりに自発的に発信していくことに尽きるのであろう。
 この意味で、地域版検索システム(地域版googl)を今後の地域形成の基盤施設として整備していくことが望まれる。
(統計データ)

(Sep.14,2002.Add.)


 

極端に差がある男女の2次活動時間(仕事・家事等の時間)
―生活時間の全国比較―

 富山県の生活時間で2次時間(仕事・家事等の時間)の男女(有業者)差は1時間を超え、全国の中でも極めて大きい。
 「社会生活調査」では、生活を1次活動時間(睡眠、食事等の生理的必需時間)、2次活動時間(仕事、家事等その他の生活必需時間)、3次活動時間(テレビ、休養、趣味等の自由時間)に区分している。
 以下は、すべて有業者についての分析です。

 少し古いデータだが、次回調査(2006年)の発表まで間があるので掲載しておく。

 有業者の各都道府県での生活時間の構成については、男女とも1次活動時間では30分程度の差にとどまっているが、2次活動時間に大きな差がある。
 富山では、2次活動時間について、男で7時間52分となっており、全国の8時間09分より、17分小さい。
 また、女で8時間54分であり、全国の8時間31分より23分大きく、全国の中でも特に大きい県となっている。


 この結果、2次活動時間の男女差では、富山では62分となり、全国の22分に較べて著しいく大きい。
 全国で差が大きいのは、島根、沖縄、茨木で、これらに次いで富山があり長崎と並んでいる。また、福井も1時間を超えている。
 逆に、大都市圏の大阪、東京、神奈川、千葉では、男が女より大きくなっている。

 
 生活時間をさらに細分してみると、富山の男の2次活動時間が少ないのは、通勤時間で目立っており、家事については、むし全国平均より大きい。ただし実時間はごく小さく、統計的には確実な検討は難しい。ちなみに通勤時間については、大都市圏等で特に大きく、その他地域での格差はほとんど無い。
 女については、有業者での比較ではあるが、仕事の時間、家事の時間もともにより大きい。これが通勤時間の小ささを打ち消し、さらに2次活動時間を大きくしている

 男女それぞれの生活時間の構成については、多様な属性の人が混ざっており、平均値の具体的意味を単純には推測し難い。
 しかし、男に比して、女の家事時間が著しく長い分について、男は趣味・娯楽時間などに充てている。この様子は、時間帯別行動者率をも見ても分かる。


 男の生活時間の推移については、富山、全国とも2次活動時間が漸減し、3次活動時間が漸増している。

 女の生活時間の推移についても、男と同様の趨勢であるが、2次活動時間の減少は全国より若干緩やかなようにみられる。


 生活時間のなかで、最も大きい、睡眠時間と仕事時間については、仕事時間の減少が目立つが、特に女で最近15年間で約1時間の減少となっている。
 また、女で睡眠時間の若干の増加が見られる。


 その他の時間について整理すると、男女ともに、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌は上げどまりから反落している。これに対して、休養・くつろぎは下げ止まりで反増を示している。こうした動きは全国でも同様であり、生活のあり方が変わってきているのであろう。
 身の回りの用事は上げ止まりがみられるようだ。これは上限にきているということであろう。
 趣味・娯楽については、漸増している。このことについては、積極的な生き方として評価されるのかもしれない。
 通勤については、減少しているが、これは、多少距離のある地の企業への通勤などが少なくなっているのであろうか。
 一方、移動(通勤以外)、買い物は漸増しているが、これは郊外型商店の利用等が増えているためであろう。
 また、交際・付き合いは、男で一段階減少しており、女で横ばいとなっている。
 介護・看護、学習・研究、ボランティア活動・社会参加活動などの時間については、いずれも実時間が少なく、この統計からの検討は控えたほうがよいであろう。


 なお、生活時間については、さらに年齢階層別に検討し、生涯にわたる生活像を把握していく必要がある。特に、高齢期の自由時間が、積極的な意味を持つことが期待されていると考えられる(Jul.01,2000.Add.)。

(統計データ)


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(Feb.27,2005.Rev./Nov.08,1997.Orig.)