魚をよく食べる富山県人
―家計調査細費目の消費支出額比較―

 家計調査の消費支出額について地域ごとの多寡を比較するのは面白い話題となるが、数値の取り扱いには、いろいろと留意すべき点が多い。
 まず、データが揃うのは、都道府県庁所在都市である。
 また、丁寧な比較をするためには、世帯構成に配慮する必要があり、少なくとも二人以上世帯の統計で比べる必要があろう。
 世帯規模の違いに配慮し、一人当たりで割り返した金額を比較するという考え方もあるが、世帯として利用する費目もあり、一律に扱うことはできない。
 特定都市の二人以上世帯を扱うと、サンプル数が極めて少なくなり、特定の年の統計だけでは、確率的な振れが大きくなる。このため何年かの傾向を見て判断する必要がある。
 また、支出頻度が少ない項目については、たまたま支出した人がいたと解釈すべきことも多い。
 さらに、支出金の多寡は、物価水準で左右されることにも配慮しなければならない。

偏差値順位
2.01
1.53
1.07
 以上のことを念頭に置き、以下では、都道府県庁所在都市の二人以上世帯で2008年、2009年、2010年の統計について、都道府県の中で支出額の順位が3年間とも多い方から5番以内であった費目、及び少ない方から10番以内であった費目を掲げた。
 偏差値(平均=0、標準偏差=1)は、突出具合の目安となり、都道府県の順位との対応は、概ね右表のとおりとなる。
 なお費目は、細費目とともに該当する集計費目も掲載した。


コード費目偏差値
(3年間平均)
富山市
支出額
2010年
全国平均
との比率
2010年
150もち2.1330231.63
1.2魚介類1.95969141.20
1.2.1生鮮魚介2.07581601.24
170-189鮮魚2.28542031.28
181ぶり3.7486252.52
182いか3.4546041.82
187さしみ盛合わせ2.0073091.57
193他の貝1.919251.82
1.2.4他の魚介加工品1.45135611.37
213魚介の漬物2.7478962.60
205かまぼこ1.2547711.45
252さといも1.4015491.57
25Xたけのこ1.5812461.52
278こんぶ4.0924652.13
292だいこん漬2.1017191.55
293はくさい漬1.0210051.54
315オレンジ1.688311.42
367カツレツ1.8222091.47
368天ぷら・フライ1.36106601.23
3.1電気代2.101554031.31
430他の電気代2.141498311.30
5.1和服2.4677722.66
554婦人用帯2.3644064.86
752自動車等関連用品1.66184922.02
880,88A,
88B
放送受信料1.90358981.31
10.2こづかい(使途不明)3.582677761.69
961他のこづかい4.521790584.10
【支出の多い費目】
 「もち」については正月等にしっかりと食べるが、家で搗くことはなくなったということであろう。
 「生鮮魚介」は、美味しいからよく食べるということに間違いないであろう。安いことも大切な要素だが、支出額ベースで多いことに留意が必要である。
 生鮮魚介類の内訳としては、「ぶり」、「いか」、「さしみ盛り合わせ」、「他の貝」があがる。
 次いで「かまぼこ」も特産品ということができよう。
 野菜等では、地場でもとれる「さといも」、「たけのこ」がある。
 「こんぶ」については、北回船の名残としてよく知られている。
 「だいこん漬」、「はくさい漬」も地場産品がある。
 オレンジについては、地場の果物が少ない中で、輸入・移入品を求めた結果であろうか。
 「カツレツ」、「天ぷら、フライ」は、共働き世帯が多い中で、惣菜を購入することが多かったためであろうか。
 「電気代」については、広い家の維持の結果であろう。
 「和服」等は、購入頻度が少なく、たまたまの結果の可能性がある。
 「自動車用関連用品」は、自動車社会の中での結果ある。
 「放送受信料」は、まじめに納めている証左であるが、正直者が多いと考えるより、引っ越しの機会が少なく結果としてこうなっているのであろう。
 「他のこづかい」は、世帯主以外のこづかいであり、共働き(世帯主の配偶者)あるいはその他の働き手がいるという意味である。その者の額が大きいという意味ではない。


コード費目偏差値
(3年間平均)
富山市
支出額
2010年
全国平均
との比率
2010年
174かつお-0.679140.49
204ちくわ-1.1510520.61
222鶏肉-1.5988700.70
224他の生鮮肉-0.9415590.66
1.4.3-1.9164980.78
280豆腐-1.0152540.88
1.7.1油脂-1.4534680.85
320食用油-1.4525260.79
381紅茶-1.015130.62
3X3焼ちゅう-1.2349220.71
704外傷・皮膚病薬-0.864570.76
720医科診療代-1.61314580.81
733バス代-1.1027240.59
736タクシー代-1.1329490.50
848ペットフード-1.7330040.52
862外国パック旅行費-0.9155470.31
960世帯主こづかい-1.18887180.77
【支出の少ない費目】
 「かつお」については、地場でとれる他の魚が十分にある。
 「ちくわ」は、「かまぼこ」が代替している。
 「鶏肉」等は、「生鮮魚介」が代替しているということであろう。
 「卵」は、価格が安いためであり、数量では極端に少なくはない。
 「焼ちゅう」は、「清酒」が代替している。
 「バス代」、「タクシー代」は、自家用車を多用する結果である。
 「外国パック旅行費」は、購入頻度が少なく、たまたまの結果の可能性がある。
 「ペットフード」、「世帯主こづかい」などその他の費目についても、いろいろと薀蓄を傾けたくなるが、あまり根拠ある説明振りを持ち合わせていない。

(Feb.21,2011)


 

家族のつながりが強い北陸
―2010年度家計支出の特徴―

 総務省の「家計調査」は、都道府県まで細分すると標本数が極めて少なくなる。この結果、支出頻度が少ない項目や支出必要な世帯が限られる項目では、県内の単年度統計を取り上げて他地域と比較すると誤った認識となる懸念がある。
 このため、複数年間(例えば3年間)の平均値、あるいは北陸の合計値などで比較するなどの工夫が必要である。
 このような経緯から、総務省の現時点での平成22年度速報では、64費目についての地域毎の合計値が発表されている。なお、この統計を使う場合は、北陸の中で、県毎の差異が大きくないか留意しておく必要がある。

 二人以上世帯の家計の支出で北陸地域(新潟、富山、石川、福井の4県)が他地域を大きく上回っている項目としては、まず贈与金、葬儀・法事費用、仕送り金があげられる。贈与金については、それなりの豊さが背景にあろう。葬儀・法事費用は因習に従う性向を意味するかもしれない。また、仕送り金は教育熱心さと捉えることができるかもしれない。しかし、これはいずれも、家族の強いつながりが表われているとも言えよう。なお、挙式・披露宴費用も比較的大きい。
 次いで、自動車(新車)への支出も極めて大きいが、これは東海地域より若干小さい位置にある。また、統計上は関東地域に含まれているが、北関東が独自の集計となっていれば、北陸と並んだものとなっていよう。
 住宅関連の支出も特色があり、外装設備費等は特に大きくなっているが、逆に家賃は特に小さくなっている。これらは、持ち家の多いことを意味している。
 こうした住宅での生活のなかで、エアコンやテレビなど一定の家具等への支出も大きい。
 教育関係については、国公立授業料が大きく、これに対して私立授業料がかなり小さくなっている。これは、経済的理由というよりも国公立指向が先立っている結果であろう。なお、補習教育費も相対的に小さい。






(統計データ)
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(May.12,2011Rev/Feb.21,2011,Orig.)