第4章 堅実な生活
第2節 絆の強い社会

第3項 不透明な消費(3)
−−耐久消費財普及−−

物持ちの富山県
―消費実態調査2009年―

 耐久消費財の普及率には2つの概念がある。一つは、世帯当たり合計保有数量であり、他の一つは、個々の世帯が少なくとも一台を保有しているか否かを問う保有世帯比率である。さらに後者に関連して、保有数量別世帯比率を検討することもある。
 なお、以下ではいずれも、二人以上の勤労者世帯の統計について検討する。

富山県での耐久消費財の普及率

 下図は、各種耐久消費財の普及率について、全国と富山県を比較しその差(%ポイント)の大きなものから順に並べたものである。
 富山県での普及率はほとんどの財で全国を上回り、特に、サイドボード、応接セットを始めとする各種室内家具など空間的ゆとりを象徴する財、温水洗浄便座あるいはIHクッキングヒーターなど快適な生活を求める財などの普及の高さが目立つ。また、自動車の普及率も高い。
 一方、富山県の普及率が低い財については、太陽熱温水器やオートバイ・スクーターなどが上げられるが、これらの低さは気候的条件や代替品の存在などから説明できよう。ファクシミリの低さはパソコン等で代替できるということであろうか。




普及の推移


 耐久消費財の普及の推移については、幾つかの型に分けて捉えることができる。

急増する新情報機器
 まず、近年、急速に普及しており目立つのは、新たな情報機器である。
 中でも、携帯電話(PHSを含む)の普及は急速で、既に千世帯当たり2,000台を超えている。
 パソコンの普及も急速に進んでおり、既に千世帯当たり概ね1,200台となっている。

急増する快適生活家電等
 快適な生活を支える家電製品等の普及も急速である。
 特に、ルームエアコンの普及は著しく、既に千世帯当たり3,000台を超えている。これは各室への設置が進んでおり、いわゆる個電化の一環であろう。
 また、温水洗浄便座の普及も急速に進み、既に千世帯あたり1,100台を超えている。

飽和する家電等
 一方、世帯内での需要を満たし、普及が飽和しつつあると見られる家電等がある。
 電子レンジは、概ね千世帯当たり1,000台超で飽和を見せている。
 自動車についても、千世帯当たりほぼ2,000台で飽和している。

低水準頭打ちの豊かさ象徴家具
 かつての豊かさの象徴であった耐久消費財で、比較的低い普及率で頭打ちないしは減少を示しているものがある。
 応接セットについては、1980年代後半以降減少気味に推移し、現在は、世帯あたり0.5セットを割っている。
 ピアノについては、概ね4世帯に1台で飽和しているように見られる。

代替材の出現で減少する家庭機器 (グラフには表示されていない)
 また、機能を代替する機器の出現で、減少を示している機器がある。
 ステレオは多様な情報機器が機能を代替し、減少していると考えられる。
 ガス湯わかし器は、住宅全体としての給湯施設の普及で減少している。



 全国での耐久消費財の普及の推移についても、保有数の水準の差異はあるが、富山と同じ趨勢が見られる。


保有数量


自動車
 自動車については、2台所有世帯が概ね50%超で最も多い。ちなみに5年前に比較して、3台以上所有世帯の比率が若干低下し、2台世帯が増加している。

 これは、飽和の様相を示しているといえるが、世帯規模が急速に縮小していることとの関連性にも留意が必要であろう。また、今後は、人口の一層の高齢化の影響も現れてくるであろう。
 いずれにしろ現在では、後期高齢者を除く世帯の成人各自が、まさに「マイ・カー」を持つようになっていると言えよう。

 なお、世帯による車の複数所有は一層多くの駐車スペースが必要となり、住宅地の緑が失われてきた



 各都道府県の保有台数別の世帯分布については、1台保有世帯を主とする地域から2台保有世帯を主とする地域まで広がっている。
 ちなみに、全国では、1台の世帯が45%で最も多くなっている。



 日本海沿岸県や北関東などが多くの台数を保有する地域となっている。



 既に、千世帯当たり2000台になっている地域では、飽和の様相を見せている。


ルームエアコン

 ルームエアコンについては、世帯での保有台数が次第に増えている。
 近年は、3台以上の多くの台数を保有する世帯が増加しており、購買力の拡大とともに、部屋毎の空調を進めているといえよう。
 ルームエアコンの使用については、それなりのエネルギーを消費する。特に夏期のピーク電力消費量が、我が国の発電能力の限界を超えそうになることさえある。なお、個々のエアコンのエネルギー効率は著しく改善している。



 保有台数別の世帯分布については、都道府県によって大きな格差がある。寒冷地で保有が少ないことは当然であろう。



カラーテレビ
 テレビの普及の初期には「一億総白痴化」をもたらすと警告されたが、それにかまわず普及が進んだ。カラーテレビは、白黒テレビに替わり、1960年代末から普及し始め、1980年代当初には世帯普及率がほぼ100%に達している。さらに、1990年代を通じて、複数台保有世帯が次第に増加し、世帯構成員各自が部屋に保有する個電化が進んでいった。個電化は、家族バラバラの生活をもたらすという警告もあったが、複数台の所有が当たり前になってきている。


普及率

 各耐久消費財の都道府県毎普及率の説明の区分については、別途の多変量分析を参照していただきたい。各項目でそれぞれ因子負荷量の高い品目を掲げている。

経済ゆとり型

 日本の中央部で高いパターンが典型的に現れているのが、パソコンであり、さらに、大都市地域で特に高くなっている。
 ちなみに大阪は若干低い。
 パソコンについては、複数台を持つ世帯も多く、逆に持たない世帯もあると考えられる。


 温水洗浄便座についても中央部で高いパターンである。


空間ゆとり型

 和ダンスは、空間的ゆとりを最も象徴する財となっている。
 ただし、経済的ゆとりの要素も混ざっていることは否めないようだ。



 自動車の普及率については、北関東、北陸の高さが目立つ。


寒暖格差型

 太陽熱温水器は、寒暖格差を最も象徴する財となっている。



 IH−クッキングヒーターの普及は、西日本に偏っているように見られるが、これはなぜであろうか。
 寒冷地での給湯システムの普及がこれを代替しているのかもしれない。


個性型
 それぞれの財については、固有の地域特性があるように見受けられる。

 応接セットの保有台数については、東海北陸で特に多い。




 ピアノの保有台数については、近畿、東海や北関東で特に多い。


耐久消費財消費の行方

 以上のように、我々は便利で快適な生活をさらに追い続けているようだ。
 また、景気低迷の中で、我々の意識も、物の豊かさへと後戻りしているようにも見られる。かつて、清貧の思想も議論されたが、一時のブームに終わっている。


(統計データ)

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(Aug.06,2010.Rev./Oct.28,2000.Orig.)