全面的デフレ時代への突入

 全国の消費者物価指数は、1998年度をピークに低下し続けている。
 富山市についても、2000年度に若干の低下を見せた後、2001年度には、△1.6%の大幅低下となった。
 21世紀に至り、富山でも、全面的なデフレ時代に入ったものと見られる。



 消費者物価指数は、各種財・サービスの物価変動をその消費額でウエイトを付け合成したものである。
 大づかみに言えば、食品が最も多く全体の1/4以上を占め、これに住居1/5、交通通信・教養娯楽各1/8と続き、以上で全体の7割を超す。その他については、光熱水道・被服履物・諸雑費各1/20であり、家具家事用品・保健医療・教育は1/20に満たない。
 総合した指数等の検討では、このウエイトを念頭に置き、要点を捉えた判断が求められる。
 なお、富山市では全国に比し、住居費及び教育費のウエイトが特に低く、その他の費目のウエイトが高くなっている。


 消費者物価総合指数の低下局面への突入について、費目大分類で見ると、教養娯楽費及び住居費が大幅の低下に転じたことが大きな要因となっている。
 しかし、長期的には、保健医療の上昇から低下への転換、光熱水道の上昇幅の縮小など、全ての費目で低下方向に変化しており、全面的にデフレに向かっているといえよう。

 右図は技巧的過ぎて読み取り難いかもしれないが、一応、費目毎のウエイトと年毎の変化を同時に表現したものとなっている。

 右図は、1990年代通じての全国の費目大分類別物価指数の推移であるが、類似した変化が富山市に先行した形で読み取れる。


 費目を中分類に分けて見ると、同一の大分類の中でも物価の動向としては、異なる性格を持った費目が交ざっている。

 
消費者物価指数の変動性格別分類による検討
趨勢分類(ウエイト)費目中分類2001年値
1995年=100
急速な低下が継続耐久財(324)家庭用耐久財、室内装備品、
寝具類、教養娯楽用耐久財
63.5
低下が継続通信(251)87.3
電気代(288)90.8
低下基調で推移耕作食品(604)穀類、野菜・海藻、果物93.2
自動車等関係費(859)97.9
横這いから
低下へ転換
工業性
食品等(947)
油脂・調味料、菓子類、調理食品、
飲料、酒類
99.0
雑貨(1908)家事雑貨、家事用消耗品、衣料、
シャツ・セーター・下着類、履物類、
生地・糸類、他の被服、医薬品等、
保健医療用品等、教材、補習教育、
教養娯楽用品、書籍・他の印刷物、
理美容用品、身の回り用品、たばこ、
その他
99.0
上昇から
横這いへ転換
家賃(1293)104.8
サービス(2651)設備修繕・維持、家事サービス、
被服関連、保健医療サービス、
交通、教養娯楽サービス、
理美容サービス、外食、授業料等
106.7
動物食品(552)魚介類、肉類、乳卵類105.9
上昇が継続ガス光熱(201)ガス代、他の光熱116.6
上下水道料(124)130.3
個々の中分類費目の趨勢と当該分類の趨勢とが一致している訳では必ずしもない。
 このため、費目大分類のみでは、デフレーションのメカニズムまで読み取ることは困難である。そこで費目中分類により、物価の変動を決定付ける要因が共通と考えられる費目毎に、集計して検討する。

 各種の耐久財等については、急速な低下が続いている。これは、主として中国等からの安価な輸入物財の流入によるものであろう。

 通信費についても、低下が継続している。これは、急速な技術革新を背景に競争的市場が形成されているためであろう。なお、電気代についても低下が継続している。

 穀類・野菜等の耕作食品については、主として需要の停滞と輸入の増加から低下基調で推移している。自動車関係費については多様な性格の費目が含まれるが、趨勢としては、低下基調の推移となっている。

 工業生産される食品等及び雑貨については、横這いから低下へと転換している。これらの財は、基本的には輸入物資により低下に転換していく可能性を持っているが、量的には耐久消費財のようにまとまっておらず、浸透が遅れていると見られる。


 家賃及び各種のサービスについては、国内的に供給され海外との競合がないため、近年まで上昇基調を続けていた。しかし、経済全体の低迷の中で、雇用情勢も極めて悪化しており、賃金水準も横這い・低下と推移しているため、その供給面からも需要面からも価格が低下する局面に入り込んでいると見られる。これは、バラッサ・サミュエルソン効果が逆方向に作用しているということになるのだろう。
 なお、動物性食品も全体としては、上昇から横這いへの推移をたどっている。

 ガス光熱費及び上下水道料については、上昇し続けている。原料価格の推移の影響があるとしても、基本的には、独占的に、また公的に供給される財サービスとしての性格が現れているのではなかろうか。

 以上の内容を総括すると、総合指数の低下局面への突入については、雑貨・工業性食品価格の低下が始まったこと及びサービス価格・家賃の上昇が止まったことが大きく貢献しているといえよう。


 他方、各都道府県の物価について相対的な水準を見た場合、富山は概ね中位に位置している。
 地域間の格差は、家賃等で顕著であり、大都市地域ほど高い傾向が見られる。

 統計入手の都合上、暦年統計と年度統計が混在しています。

(統計データ)


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(Dec.08,2002.)