第4章 堅実な生活
第2節 絆の強い社会
第2項 豊かな世帯所得(2)
−−高い平準度−−
世帯(あるいは家計)の所得の平準度(平等度)は、所得階層別世帯数等を示す統計から求めることができる。ただし、この種の情報は収集し難い面があり、都道府県まで細分した段階では、十分な標本数と精度がある統計は期待できない。実際には、「全国消費実態調査」の集計でジニ係数の算定がなされているが、「就業構造基本調査」からも算出することは一応できる。2つの調査はともに5年毎の調査であるが、調査年がずれており、適宜、補いながら利用できる。
拡大する所得格差
─消費実態調査2009年─
「全国消費実態調査2009年」によれば、富山県の二人以上世帯の平均年間収入額は、7,252千円であった。
これは、東京、福井に次ぐ高いもので、以下、愛知、神奈川、栃木が7,000千円台で続いている。
ちなみに富山県の額は、47都道府県の平均値6,292千円を約1百万円上回っている。
富山県の世帯は、世帯規模や世帯当たり有業者数が大きく、世帯の収入額は、これと関連させて評価する必要がある。
仮に世帯の一人当たり収入額では、2,191千円で、都道府県の中では、8番目の高さとなる。また、有業者一人当たり収入額では4,477千円で都道府県の中では11番目の高さとなる。
ちなみに、世帯規模の大きさの評価については、√(人員)で除して評価すべきとうい考え方もあり、これでは、都道府県の中では4番目に留まっている。
収入額階層別世帯数の分布を都道府県間で比較すると、富山県は、高収入側(右側)にかなりずれていることがわかる。
→参考;分布の表現
収入額階層別世帯数からジニ係数を求めると富山県は0.294で、全国では8番目の低さとなっている。
このように収入が高くジニ係数が低いといった望ましい状況は、石川県とも共通している。
福井県はジニ係数が高めとなっている。
ジニ係数については、日本全体で次第に上昇してきているが、富山県では最近10年間で特に急速に上昇している。
10年前の1999年時点では、富山県のジニ係数は都道府県の中で最も低かったが、2009年では8番目となっている。
統計上の誤差もあり厳密なものでないが、富山県の平等さが崩れつつあることには留意が必要である。
(統計データ)
(Dec.28,2010)
資産格差の小さい富山
─全国消費実態調査(2009年)─
全国消費実態調査(2009年)の都道府県毎の所得・資産のジニ係数(格差係数)が発表された。富山県、石川県、福井県の2人以上勤労者世帯の標本数はれぞれ凡そ410世帯である。この標本数で、ジニ係数の信頼幅がどの程度となるかは確認していないが、かなり危ういことを覚悟して置く必要がある。また、格差の形によっては、ジニ係数が格差の社会的問題を的確に表さないことにも留意が必要である。
まず二人以上勤労者世帯についての各都道府県の平均所得額及び平均資産額を見ると、当然であるが所得額の差に比して、資産額の差が極めて大きい。
変動係数(標準偏差/平均)で見ると、所得額は9%にとどまるが、資産額については26%となっている。
資産額の構成については、その大半が住宅・宅地で、全国では77%(20百万円)、富山では72%(19百万円)となっている。
この資産のうち、宅地についてはその価格に大きな差があり、金額で評価すれば確かに差があるのだろうが、実物を利用する限りは、このような差はなく、むしろ逆の格差があるとも考えられる。
さらに、都道府県内での住宅・宅地資産の格差をジニ係数で見ると、大都市地域でその差が大きいことが予想されるが、九州や四国でも大きな県がある。
住宅宅地の都道府県毎の平均資産額とそのジニ係数には相関はみられず、資産額が小さく、格差の大きな県も多い。
(統計データ)
(Nov.15,2011)
高い所得の平準度
―格差は次第に拡大―
2007年調査の就業構造基本調査の統計から、一般世帯の世帯所得の分布についてジニ係数を試算すると、富山は全国で最も低く、平準度の高い地域であることを示している。
一般に、世帯所得の平準度は、日本の中央部の県で高く、九州・四国で低い。また、近年は、近畿、東北でも低くなってきている。
→2002年調査の就業構造基本調査(世帯所得との相関)
所得階層別の世帯数の構成比を見ると、富山については、概ね500万円未満の層の比率が相対的に低く、500万円以上の層の構成比は全国でも最も高いグループに属しており、全体として格差の少ない地域となっている。
また、200〜400万円層の地域毎の格差がかなりあり、全体としてのジニ係数の差異となって現れている。
東京については、高額所得者層の存在が格差の要因となっとているといえそうだ。
1,000〜1,250万円層の比率が特に高くなっているが、これは、区間の取り方(対数尺度を勘案すれば上下限の比率が目安)が他より広くなっていることも一因だが、この影響を除いたとしてもなお高いと見られる。給与所得で考えれば月々50万円強で年間で賞与を含めて20ヶ月分を得るとした場合の層が多くなっているということかもしれない。
2007年のジニ係数を2002年と比較すると、鹿児島県を除いて、いずれの都道府県でも増加している。
富山県については、2002年では、0.294で全国で最も低く、神奈川県とともに0.3を割っていた。しかし、2007年では、0.019ポイント増加し、0.3を超えた。
また、この間に東京のジニ係数が0.035ポイントとかなり大幅の増加となっている。
ちなみに、ジニ係数に関する小生の見方では、0.3台であれば、総体としては、格差もそれほど厳しくなく、活力も持ちうる納得できる水準と考えている。
しかし、個別的には厳しい世帯があることを無視していいわけではない。また、次第に格差が拡大していることについては、十分留意しておく必要がある。
(統計データ)
(Jul.04,2008)
若年層で拡大する所得格差
―2004年全国消費実態調査―
総務省「全国消費実態調査」によれば、全国の世帯(二人以上全世帯)の所得格差は次第に拡大しており、2004年のジニ係数は、0.308までに上がっている。
富山県のジニ係数を所得階級別世帯数統計から試算してみてもやはり次第に上昇していることが見られる。この計算は、推移を捉えるための試算である。実際の値より低くなると推測され、全国との相対的位置には意味がない。

各都道府県のジニ係数を同様に試算してみると、2004年の富山県は全国で7番目低い位置で格差の少ないグループに属していることは間違いないであろう。ただし、1999年では全国で最も低く、格差拡大幅が相対的に大きかったことが懸念される。
全国消費実態調査は全国の約60,000世帯を対象とした調査であり、県の中をさらに細分した統計値については、統計誤差の大きいものが現れる可能性が高いことに留意しておく必要がある。例えば、平成6年統計では、富山県の標本が著しく偏っているように見られた。
ちなみに、1999年統計では、九州・四国の所得格差が相対的に大きかった。
これに対して、2004年統計では、東北の格差が1999年に比して大きくなっていることが目立つ。
なお、世帯の所得格差の拡大については、相対的に格差の大きい高齢者の世帯が増加していることが一つの原因とされる。
実際に世帯主年齢層別での格差を見ると高齢の世帯層ほど格差が大きい。また1999年、2004年統計の比較ではそれぞれの階層での格差の変化は殆ど見られない。
ただし、29歳未満層では、格差が拡大しており、若年層での格差拡大が起こっていることは確実であろう。そして、これが次第により高い年齢層へと広がっていくことが懸念される。
(参考1999年世帯主年齢層別全世帯・勤労者世帯所得格差)
また、世帯所得格差拡大の要因として、核家族化の流れの中で、世帯規模が一層縮小し、世帯の核となる夫婦等のライフサイクルに沿った変動が直接現れてしまうことも考えられよう。世帯が大きく複合的であれば、他の構成員によってライフサイクルによる変動が相当程度緩和される。
さらに、個々人の勤労所得の格差が拡大している影響も大きい。これは、勤労形態の多様化によるものと考えられる。
全国でジニ係数が0.3を超えた状態をどう捉えるか。理論的な根拠などないが、いわゆる総中流社会が崩れた状況といえるのではなかろうか。
このような変化は、今後とも継続すると考えられるが、このための備えを個人的に配慮するように努めるのか、社会として支援する体制を充実するのか。双方必要であろうが、その均衡をどう図るか、選択のための明確な議論が必要ではなかろうか。
(統計データ)
(Feb.04,2006.Rev.)
「所得再分配調査」厚生労働省
厚生労働省の「所得再分配調査」によれば、1990年代後半から、当初所得の格差が大きく拡大している。
再分配効果については税によるものが縮小し、社会保障によるものが著しく拡大している。
この結果、2002年の再分配後の所得の格差は、1999年とほぼ同等の水準に留まっている。
なお、世帯の所得格差拡大については、世帯構成の変化や高齢世帯の増加の中で起きている現象であり、これだけの情報では評価は難しい。
3年間の変化としては、極めて大きく調査の確かさに懸念が持たれる。ちなみに、2002年調査のサンプル数は101,257で、有効回答数は7,623である。

2005年の所得再分配調査の結果をとりあえず掲載。
当初分配ではジニ係数が0.5を超えたが、これは高齢者世帯が増えた要因が大きいと考えられ、それ上の意味合いはつかみ難い。
(統計データ)
(Aug.30,2007.Add.)
地域別の状況について、北陸の所得は全国の中間的な位置にあるが、再分配係数は全国平均を上回っている。
なお、1999年調査と2002年調査には大きな隔たりが見られる。
(統計データ)
(Dec.28,2010.Rev./Oct.07,2002.Orig.)
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