第4章 堅実な生活
第2節 絆の強い社会

第4項 地域社会の繋がり(1)
−−強い地域社会の繋がり−−

 約10年前に本ページをまとめた。
 社会が大きく変化するなかで、地域社会の繋がりが弱くなりつつあるが、都道府県の中での富山県の相対的な位置(総体的に強い地域社会の繋がり)は、変化していない。
 最新のグラフを改めて挿入し、ページのリンクを張った。
  (Feb.07,2012)

地縁社会の強い規範の例
他人と同じことをする高い老人クラブ加入率、高い進学率
助け合う低い生活保護率
和を乱さない少ない公害苦情
これまでの行動を変えない少ない女性管理職
相互に監視する低い犯罪率
 地域に定住する傾向が極めて強く、地域社会の繋がりも強い。
 地域社会の繋がりは、お互いに支え合う大切な面も強いが、一方でお互いに監視し合うような側面があり、地縁社会の規範が良くも悪くも残っている。
 一方、地縁社会を離れたボランタリーな活動などについては、かえって低調な面がある。



自県内社会移動率
 富山県の人口の県内社会移動率は極めて低い。
 社会移動率が低いことは定住性の高いことでもあり、良くも悪くも地域社会の繋がりが強いことを意味している。
 この具体的な例示については、県民性の場合のように、深い検証を伴わない思い込みの議論になりがちである。以下では、関係すると考えられる幾つかの特徴的な統計指標を列挙する。







他人と同じことをする

 富山県の老人クラブ加入率は極めて高い。加入率の低いのは、南関東の1都3県と北海道である。
 経済企画庁の国民生活指標では、これを「交流」のあかしとして積極的に評価しているが、富山では必ずしもそのように評価していないと思われる。
 地域社会で生活するにあたって、他人と同じ行動をとるという処世術が現れている面も強いと考えられる。
 また、他人と同じ行動という面は、進学率の高さなどの要因ともなっているものと思われる。
 (Aug.18,2005.データ更新)

 国民健康保険保険料納付率が高いというのもこの性向の現れかもしれない。








助け合う

 富山県の生活保護への依存度は低い。
 例えば、被保護老人比率で見ても、極めて低い。この指標は、全国では、大都市圏を除き中央部に低い地域が分布している。
 この結果、社会福祉施設(収容)の整備率などが、かつては全国でも最も低かった。しかし、最近は相対的に上がってきている。
 このこと自体は評価されるべきことと考えられるが、一方で、家族・地域による相互扶助の考えが衰退してきていると見られ、今後の高齢化社会の中で、富山県なりのあり方がしっかりと議論されるべきものと考えられる。








和を乱さない

 地域社会の繋がりが強い結果として、「ことあげ(言挙)」しないことも一つの特徴となっていると考えられる。
 例えば、富山の公害苦情の件数は極めて低い。これは、公害が少ないと同時に敢えて申し立てないことにもよると考えられる。
 一方、他地域と比べて、多様な市民運動も低調であったが、ごく近年は状況が変わりつつあると見られる。








 結婚や離婚の状況でも、他と同じく行動し、和をみださない傾向があるといえよう。
 例えば、富山県の未婚率は全国平均に比して低い。
 ただし、全国でも富山県でも各年齢層の未婚率は著しく上昇している。
(統計データ)(Jan.06,2002.Rev.)



 また、富山の離婚率の水準は低い。
 ただし、離婚率についても、漸増している。








これまでの行動を変えない

 地域社会の繋がりが強いことから、行動を変えない(保守的)という特徴も見られる。
 例えば、富山県の女性管理職の割合などに見られるように女性の評価が低いのもこの現れであろう。
 ただし、女性の職場進出は拡大しており、公務等から採用の差異がなくなりつつある。
 なお、政治面においても、保守政党の強い地域となっている。



2010年国勢調査による分析




相互に監視する

 地域社会の繋がりが強いことは、相互に監視することにも現れる。
 この結果、犯罪等の件数は極めて少ない。例えば、刑法犯として認知された犯罪件数は少ない。








 覚醒剤取り締まり送致件数についても、富山を含め日本海沿岸地域で低い。



 一方少年刑法犯での検挙人員数については、全国で中程度である。
 これは、地域社会の強い繋がりと規範が、若い世代で崩れてきている兆候といえるかもしれない。



 富山県は身近な地域社会の奉仕活動には参加しているが一般的な奉仕活動への参加は少ない。
 このことへの評価は別として、今後の地域社会のあり方を考えていく上で、重要な事項となっていこう。



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