第4章 堅実な生活
第3節 安心した暮らし
第2項 高齢者福祉の選択
かなり高い介護保険料 ―第1号被保険者第5期保険料―
全国一斉に、2012年度から第5期の新たな介護保険料となった。
富山県の65歳以上の保険料(第1号被保険者第5期保険料)は、9保険者平均で5,513円/月であり、全国各都道府県の平均では4番目に高いものとなっている。
月当たり保険料が、5,000円を超えると、支払いが厳しくなる人がかなりでてくるとされていたが、困難な状況に陥っていることは事実であろう。
当然のことではあるが、保険料は介護保険の利用に係る費用額と高い相関がある。
富山県では、介護サービスの利用が施設利用に偏っており、その中でも医療系が多いため、結果として、高いものとなっている。
このようなサービスを選好し、高い保険料を甘受するのであれば、それなりの見識であろうが、所得の少ない人への別途の手当の充実が必要であろう。
これに対して、県等では、在宅でのサービス利用の比率が高まるよう呼びかけている。
たしかに、在宅が正常な形といえるかもしれないが、多様な事情から、また施設が充実しており、施設利用偏重となることは、避け難いようである。
県内の各保険者毎の保険料については、魚津の5,980円から、新川の4,800円までの差がある。
この差の要因は分析できていないが、黒部では(特に宇奈月地域では)、社会福祉協議会がしっかりと活動し、在宅での介護を実現していると聞いている。
(ちなみに、介護保険制度が開始された2000年時点では、県内では氷見の保険料が最も低く、氷見では社会福祉協議会の活動がしっかりしているといわれていた。)
(統計データ)
(Apr.13,2012)
単独高齢者は少ないが施設が分担 ─高齢者が住む世帯の類型─
富山県では単独で生活している高齢者の割合は、11.0%に留まり、都道府県の中では、山形、新潟、福井に次いで少ない。
全国で単独で生活している高齢者の割合が低いのは東北・中部地方で、逆に高いのは東京・大阪及び九州・四国で多くなっている。北海道を除きいわば西高東低の型となっている。
高齢者の居住する世帯類型は加齢とともに変化していく。
まず、夫婦を中心とした核家族世帯が多い。
次いで、70歳台半ば以降に離別あるいは維持困難となりその他の親族と同居するようになっていく。これが実現しない場合あるいは選択しない場合は、単独世帯あるいは施設等世帯となる。
ただし80歳台に入ると単独世帯の比率は横ばいで施設等世帯が増加していく。
さらに、80歳台後半では、その他の親族との同居もあまり増えず、施設等世帯が急速に増加していく。
親族との同居ができない・選ばない高齢者は、単独世帯あるいは、施設等世帯で生活することとなるが、富山県では他地域に比較して施設等世帯が特に多くなっている。
85歳以上の施設等世帯での生活者の割合は、九州・四国で高いが、富山県も比較的高い位置にある。
(統計データ)
(Dec.04,2011)
施設利用に特化する介護サービス ─富山県と全国との比較─
2009年度富山県での65歳以上人口一人当たり介護保険給付額は、252.9千円であった。全国の212.2千円に対してかなり高く、都道府県の中では5番目に高いものとなっている。
保険制度・保険料は3年毎に見直されており、次回2012年度の改定では、第1号被保険者(65歳以上の被保険者)の負担額が全国平均で5000円/月超となるといわれている。これはかなり厳しい額であり、制度の新たな改定が避けられない状況となっている。
第1号被保険者の負担率を18%とすれば、250千円*0.18/12=3750円/月となるが、ここで積算されている介護度1以上の者への給付に加え要支援の者への支援(5%程度)、その他の経費、さらに長期的な増加の趨勢を加味すると、5千円/月を超える負担となるということである。
| 介護保険によるサービスの種類 |
| 居宅サービス | 訪問通所 | 訪問介護 |
| 訪問入浴介護 |
| 訪問看護 |
| 訪問リハビリテーション |
| 通所介護 |
| 通所リハビリテーション |
| 福祉用具貸与 |
| 短期入所 | 短期入所生活介護 |
| 短期入所療養介護(老健) |
| 短期入所療養介護(病院等) |
| 居宅療養管理指導 |
| 特定施設入居者生活介護 |
| 居宅介護支援 |
| 地域密着型サービス | 夜間対応型訪問介護 |
| 認知症対応型通所介護 |
| 小規模多機能型居宅介護 |
| 認知症対応型共同生活介護(短期利用以外) |
| 認知症対応型共同生活介護(短期利用) |
| 地域密着型特定施設入居者生活介護 |
| 地域密着型介護老人福祉施設サービス |
| 施設サービス | 介護福祉施設サービス |
| 介護保健施設サービス |
| 介護療養施設サービス |
保険給付額の地域によっての差は、まず被保険者の年齢構成の差異によるところが大きいであろう。(このために起こる保険料負担の格差は全国ベースで調整されていることはいうまでもない。)
また、保険給付の費目には多様なものがある。同一費目のサービスの単価(当該サービスを受ける者一人当たりの利用額)には地域差はないようであるが、地域によって多様なサービスの利用の度合いが異なることが総費用の格差の背景にある。富山で額が特に大きくなるのは、この要因といえる。
各サービス毎に1年間分を名寄せして利用者数を数えた統計がある。これをもとに、サービス毎の65歳以上人口当たり利用者数について、全国と富山を比較すると、富山で特に高いのは、居宅サービスの内の通所サービス、短期入所サービス及び施設サービスが高く、特に施設サービスの中の療養施設サービスが突出したものとなっている。
サービス毎の利用者一人当たり給付額を見ると、毎日終日サービスを受ける施設入所サービスが当然に高くなり、中でも医療系の療養施設サービスが最も高くなっている。(在宅系サービスでは、一人の人が複数種類のサービスを受ける可能性が高いことに留意しておく必要がある。)
また、地域密着型の施設利用も高く、居宅系サービスでも通所・短期入所といった施設利用型で高くなっている。
サービス給付額(利用者数と単価の積となる)をサービス種類別に、富山県と全国を比較して見ると、富山県では、施設サービスで、中でも療養サービスで突出している。
また、居宅サービスでも、通所介護や生活介護の短期入所など施設を利用したサービスで大きくなっている。
全体の費用を居宅サービス(居宅介護支援を含む)、地域密着サービス、施設サービスに分けの構成比を都道府県間で比較すると、富山県は施設サービスの構成比が全国で最大となっている。
次に、居宅サービスの費用額を通所、短期入所、その他に分けその構成比を比較すると、富山県では、施設利用以外のその他が特に少なく、短期入所がかなり大きくなっている。
他方、施設サービスの費用を福祉、保健、療養に分けた構成比では、富山県では療養が特に大きい。
→2007年度介護費用額分析
富山県は、なぜ施設指向になったのか。
かつて1970年代には、高齢者当たり入所型高齢者福祉施設の定員数が全国で最も少なかった。そして、家族で支えあっており、他地域ほどに施設を充実する必要がないという説明があった。多少は病院が福祉施設の代替をしていたという事情があったとしても、その時点なりの事実であったと考えられる。
しかし、1980年代以降、特別養護老人ホームの整備充実に鋭意努力し、2000年頃には全国平均を超え、介護保険制度のもとでも施設増強の努力を続け、全国でもかなり充実した(定員数の多い)県となっている。
結果として、収容できる施設があるので、その定員の範囲で活用しており、富山県であっても入所を希望して待機している人がいる。
富山県のこのような施設利用の状況を改めるには、待機者の解消のために、また今後予想される希望者の増加に備えるために、さらに施設を充実させる必要があると考えるのだろうか。あるいは、保険負担の面から見て、居宅系のサービスに移行するよう、その魅力を高める工夫していくのであろうか。
高齢者がそれまで住んできた住宅で生活し続けること、家族と共に住むことが当たり前の姿(ノーマル)であるとして、居宅介護の方向を助長する考え方もある。しかし、これは保険システム持続の困難性に配慮している面も大きいようだ。
ここで、我々は、地域なりにどのような福祉社会を構築していくのか、議論が必要なのではないだろうか。
福祉施設運営の優れた事例があったことから「富山型福祉」の提唱がなされたこともあるが、どの程度高齢者や福祉の担い手の実態を踏まえた議論であったのだろうか。
小生なりの議論を展開することは差し置くとして、どのような体制を形成していくにしろ、皆で負担する覚悟が必要なことは間違いないであろう。
また、問題解決のための努力として、高齢者が要介護状態に陥らないために、高齢者がいつまでも社会的つながりの中で、生き生きと生き続ける地域を形成していくことが肝要であろう。実は、これが功を奏せば、かなり負担が軽くなる可能性がある。
(統計データ)
(Mar.09,2011)
高い施設サービス利用率は供給要因 ─高い介護保険料の背景─
第5期(2012年度〜)介護保険への見直しに際して、1号被保険者(高齢者)の保険料が5千円/月を超えるなど保険料金の高騰が懸念されている。
富山県での介護保険の利用については、他地域に比して、保険受給者率が高いグループに入るが、さらに高齢者当たり給付額が特に高い地域となっている。
これは、介護サービスのうち施設入所サービスの比重が特に高いためであり、中でも医療系の療養サービスが大きくなっている。
施設入所サービスが多いのは、とりもなおさず入所定員・病床が多いためであり、当然のことではあるが、この施設定員・病床数とサービス受給者は高い相関をもっている。
それではなぜ富山で地域で施設定員・病床数が多くなっているのか。
地域で施設定員・病床数いのは、供給と需要の両面で捉えることができよう。
富山では、1980年頃までは、福祉施設(老人ホーム)の整備状況は高齢者数に比して全国でも最も低かった。ただし、病院での療養(いわゆる社会的入院)がある程度はあったものと考えられる。
その後、1980年代以降、福祉充実の掛け声の元に、県内各地域で老人ホーム(特別養護老人ホーム等)の整備が急速に進められ、介護保険導入時の2000年にはほぼ全国平均に、さらに現在では全国でも整備水準の高いグループに入っている。
一方、病院系の施設については、医療費抑制の掛け声の中で、従来の病床が介護保険の療養施設へと急速に衣替えしており、結果として、全国の中でも特に多くなっている。
他方、供給が増えれば需要が増えるといった相乗作用も強く働くものと考えられ、特に介護保険制度の下で、また家族での支えが色々な事情から脆弱になってきている中で、当然の権利として施設入所を希望する意識も高くなってきていると見られる。行政を始めとした関係者は、福祉のあるべき姿(ノーマライゼーション)として、在宅介護さらには地域密着型介護を指向すべきとしているが、このサービスの水準が相当に高度なものとなるか、あるいは入所施設の著しい不足が起こらない限り広範な普及は困難なのではなかろうか。
(統計データ)
(Dec.03,2011)
全国の中で最も多い施設サービス利用 ―2009年度介護保険給付実績―
2009年度介護保険給付実績では、富山県の高齢者の施設サービス料者数の比率(*)は、全国で最も大きく、4.1%であった。全国平均では2.9%に留まっている。
全国で施設サービス利用者の多いのは、日本海沿岸の新潟を含む北陸、山陰、及び四国・九州の一部の県である。
*施設サービス(いわゆる入所サービスで日帰り・短期等の居宅系サービスを除く)の月平均利用者数を1号被保険者(前年度末と年度末の平均、65歳以上高齢人口に相当)で除した値。

施設種類別の構成では、全国平均で11%の療養施設サービスが、富山県で21%と高くなっている。
このように、施設サービスの利用が多いのは、施設が多いことが背景にある。
富山県では、かつて高齢人口当たり福祉施設収容定員数が全国で最も少なかった。
(いわゆる社会的入院として医療施設に入っている高齢者が多かったという推測もある。)
しかし、中沖県政時代に福祉充実の動きの中で、飛躍的に増加しており、さらに病院診療所の介護施設への転換が多かったとも推測され、状況は逆転している。
このような状態は、ノーマライゼーションとして居宅福祉を指向する流れと反する。ただしこの指向は福祉に要する経費を削減することが念頭にある。
富山県の現況は、施設入所希望の待機者も相対的に少なく、高齢者を支援するために必要な経費を全体で拠出する覚悟があれば、否定的にとらえる必要はないであろう。
また、家族が高齢者を支えない性向があるともいえないであろう。
施設でのケアが望ましいものとなっているか、地域社会での実態が重要であり、統計だけでは評価しきれない面が多い。
(統計データ)
(Jul.30,2011)
全国一少ない特別養護老人ホーム入所待機者 ─高齢者当たり申込数─
特別養護老人ホーム入所申込者数の都道府県別統計(2009年12月時点)が発表された。つまり入所待機者数ということである。
都道府県毎に多少集計範囲が異なるが、それぞれの介護保険サービスの充実度を示す参考資料とはなろう。
右図は、この人数を65歳以上人口千人当たりに換算して表したものである(65歳以上人口は2008年10月現在)。
富山県では、総数 1,489人であり、65歳以上人口当たりでは、5.4人/千人となり、都道府県の中で最も少ない。ちなみに全国平均では14.9人/千人となっており、地域によってかなり大きな差がある。
入所希望がありながら待機せざるを得ないというのは、保険制度で受給事由があるにも拘わらず受給できないということであり、制度として成り立っていない面があるとも言えそうだ。税ではなく保険という制度をどう考えるのだろうか。
富山県で、申込者が少ないという状況は、在宅介護や医療系施設入所等も含めて、介護サービスが充実していると当然いえよう。
ただし、施設偏重、特に医療系施設への依存度が高いことについては、問題を含んでいる。
(この統計については、都道府県毎の大きさを説明する簡便な手がかりが見つからない。)
(統計データ)
(Jan.18,2010)
(旧分析)
―医療施設系サービスの偏重―
富山県での高齢者の支援は、20世紀第4四半期に在宅介護から施設依存へと急転換した。さらに介護保険の導入により、高齢者の支援が一元化する中で、医療施設系サービスに偏重していることが明確になっている。
我が国では、高齢者を支援する社会保障制度としては、介護保険と年金が柱となっている。
生活するために人手を介した支援がいる高齢者をどうのように支えるか。
かつては、在宅のまま家族で支える方法が典型的であったし、ホーム・ヘルパーの派遣等を加えて、在宅による介護が、正常な様式(いわゆる「ノーマライゼーション」に沿う様式)と捉えられてきた。
しかし、介護保険制度の導入にあたって、家族による介護への金銭給付を制度化することについては、女性の介護労働を強制するとして否定された。このため訪問介護の制度はあるが、施設に依存する介護が一層増加することとなった。
一方、医療サービスについては、いわゆる社会的入院を医療制度の中で同等に扱うことを不都合として、まずより緩やかなスタッフの基準よる中間施設と位置づけられる老人保健施設が制度化された。さらに、医療費抑制の必要性もあり、医療保険から療養を分離し、その他の制度と統合した介護保険が制度化された。
ご注意;このページからリンクが張られたページには、介護保険制度制定前の記述も多いことに留意してください。
高齢者の自立
総人口に占める高齢者の比率が、今後一層増加していく。2020年頃には、65歳以上人口が総人口の30%近くになるものと推測される。このため、高齢社会は高齢者の支援のために、様々な困難な課題を抱えるとされる。
しかし、子育てを終え一定の資産を蓄えた高齢者にとっては、仮に年金以外の所得が必要な場合でも、中年者に比べて相当にわずかな金額で一定の生活水準が確保できる。このため、仕事を各自の能力と意向に沿ってうまく分け合う仕掛けが形成されれば安定した生活が可能である。
さらに、高齢者には時間的余裕があり、これがボランタリーな社会的貢献に向けば、住み良い地域社会の形成に重要な役割りを担うこともできる。長寿化した人生の設計において、人生当初の学習期、人生中間の就業・子育て等の活動期に、人生終盤の自発的で自由な社会的貢献期が加えられれば、それなりに面白い人生になるのではなかろうか。現在、働き盛りのピークを少し過ぎた時期に、切磋琢磨する仕事からは退き、社会にお返しをするための新しい人生を始める兆候があるともみられる。
一方、高齢者は病気がちで、寝たきりの人がいることも課題の一つである。特に、富山県は人生最後の介護を必要とする期間が長いとされ課題が大きい。
この最大の対処は、高齢者がいつまでも社会的役割をもって生き生きと活動を継続することであろう。「寝たきり」は、「寝かせきり」ともいわれるが、社会的役割といわないまでも、家庭内での役割、個人として仕事を担っていくことこそ大切であろう。
以下では、支援が必要となった高齢者に関し、介護保険制度にまつわる話題を中心に検討する。
高齢者の支援
介護保険制度の下でのサービスは、居宅系の訪問介護サービス(@)及び施設系のサービスに分けられ、さらに施設系のサービスは、福祉系施設サービス(A)と医療系施設サービス(B)に分けて捉えることができる。
ちなみに、これらの支援の選択については、高齢者がそれぞれの立場で最も相応しいものを選択できることが望まれる。しかし、実際には、各地域毎の福祉のあり方に関する考え方に強く影響されることとなる。
高齢者を支援するサービスの受給者数は、介護保険の制度に準拠すれば、訪問サービスの受給者数と各施設の在所者数の合計で捉えることができよう。
3つの態様を対等に並べることは問題も多いが、地域の傾向を捉えるため敢えて並べて比較する。
富山において、なんらかの支援を受けている高齢者の比率は、介護保険の導入以前では、全国の都道府県の中でも比較的高かったが、制度化後には、概ね中間的な位置にある。
なお、介護保険で要介護と認定された高齢者の平均介護度については、富山県は全国の中で特に高い。
ちなみに、これは、以下で見るように訪問介護サービスが少ないためである。
我が国では、社会福祉施設の整備は、我が国経済の高度成長とともに進められてきた。しかし、富山では、家族で支えあい、自立の精神が旺盛で、かつて富山の施設整備の水準は、相対的に低い水準にあった。例えば、施設等に住む世帯の割合は、全国でも最も低かった。右図は、自衛隊等も含まれており、総人口当たりで描いてあることに留意が必要でである。
しかし、1980年代に入って、急速に福祉施設の整備を進め、この頃を境に、富山は、全国最低水準を脱し、短期間に全国平均を超えている。こうして、富山での高齢者の支援は、医療施設への入院を含め、急速に行政施策へ依存する方向に移った。
なお、現在でも、富山での家族の支えあいはそれなりに認められ、例えば、単身高齢者世帯は1割未満で全国で最も少ない。
ちなみに、福祉施設の整備の過程を全国の都道府県について見ると、全国で平準化する方向が見られる。これは、各地域の自発的行動とともに国による指導の結果とも見られよう。
なお、北陸地方に住む人は、家族と住みたいという意識は強いようである。
さらに、2000年に介護保険制度が導入された。
この制度によって、高齢者の支援の実態が包括的に把握されるようになった。全国の中でも富山県は、当初、保険料が特に高いグループに入っていたが、2006年4月改定では、上昇率が相対的に低いものとなり、保険料の水準は相対的に高いグループに移った。
ちなみに、富山県の介護受給者当たりの費用額は、全国で最も高い。
なお、介護給付額の多寡は、介護保険施設の定員などで決まるように見受けられる。
→第4期(2009-2011年度)保険料
高齢人口の増加による施設居住者の急増 ―2005年国勢調査結果―
2005年の国勢調査では、富山県の施設居住者の比率は一層拡大し、総人口の2.2%に至っている。
本項は、全国のデータが発表された後、書き換える予定です。取り敢えず速報として掲載しておきます。
施設種類では、「社会施設」で4,300人増加しており、介護保険制度の浸透により、老人ホーム等への入所者が急増したことを意味している。なお、「病院・療養所」については若干減少しており、「社会施設」への転換があったことが窺われる。
なお、富山県では、有料老人ホームは極めて少ない(Feb.13,2010追加)。
→介護保険制度の下での入所介護施設定員数の推移
国勢調査の集計には年齢別一般世帯人口があり、これと総人口の乖離は施設等居住人口と推測される。以下ではこの数値で分析する。なお、2000年の年齢別一般世帯人口の集計は85歳以上が細分されず一括して掲載されている。
年齢別の施設等居住人口の比率は、70歳代後半から次第に上がり、80歳代に入って急速に上昇していく。
しかし、総人口との関係から、施設等居住人口は概ね80歳代後半が最も多い。
年齢別の施設等居住人口比率について、2000年と2005年を比較すると、70歳代の各年齢で増加したようにも見られるが、明瞭な一貫した差異は見出し難い。
総人口については、70歳を超える各年齢で確実に増加している。
この結果、施設等居住人口も、70歳を超える各年齢で確実に増加している。
2000年から2005年の間の施設等居住人口の増加の要因を各年齢別に人口増と居住率の変化に分解して見ると、施設居住人口の総数の増加は、70歳代後半以降の人口増加が大きく寄与してることが分かる。
ちなみに、85歳以上について一括して同様の計算を行うと、人口増分の寄与が3,082人となっている。
なお、施設等の整備は、高齢者のみ世帯の増加を防いでいる側面があり留意が必要である。
(統計データ)
(Oct.21,2006Rev./Sep.30,2006.Add.)
施設系サービスへの傾斜
介護保険の経費について、居宅サービスと施設サービスに分けて見ると、居宅系サービスについては、全国平均とほぼ並んで推移しているが、施設系で大きな較差がでている。
富山では従来から訪問看護等の実績が低調であるなど、介護サービスの選択については、地域なりの事情があると見られる。
居宅サービスの低さの要因
居宅サービスが相対的に少ない原因としては、共働きが多いため、高齢者を支えきれないのであろうという議論がある。
個別のケースとしては、このような事情が十分に考えられるが、各県の女性労働力率と居宅系サービス比率については相関がない。
このため、女性労働力率の高さは、富山県の居宅系サービスの比率が低い事情の説明とはならない。
むしろ、サービスの供給側が十分に育っていないということも考えられるのではなかろうか。これは、産業全般で起業者が少ないことや、NPOなど新たな活動に挑む者が相対的に少ないことに通じている。
保険料の県内の保険者間での違いを見ると、氷見で特に低くなっているが、これは社会福祉協議会が積極的に訪問介護サービスの事業を展開しているとのことであり、事業者がいれば、需要がついてくることを示しているといえよう。
医療系に偏る施設サービス
施設居住者のうち病院・療養所入院者総数及び社会施設入所者総数を65歳人口千人当たりで見ると、富山県では合計では79人で全国の68人を上回るが、全国都道府県の中では15番目で石川、福井などより少ない。
また社会施設入所者は全国平均より少ないが、病院・療養所入院者は全国平均より多い。特に、双方の比率では、全国で最も、病院・療養所に偏っている。
施設居住者は全年齢階層を含んでいるが、ここでの2種類の施設の居住者は、高齢者が大部分と見られ、65歳以上人口比で検討している。
(Nov.06,2004.Add.)
高齢者当たり介護費用 厚生労働省 「介護保険事業状況報告年報」 |
| 全国 | 富山 | 都道 府県 順位 |
| 居宅サービス | 30.85 | 22.02 | 43 |
| 養護老人ホーム | 2.70 | 1.55 | 43 |
| 介護老人福祉施設 | 13.80 | 16.10 | 13 |
| 軽費老人ホーム | 2.82 | 3.08 | 23 |
| 福祉系計 | 19.32 | 20.74 | 26 |
| 老人保健施設 | 9.89 | 14.34 | 5 |
| 介護療養施設 | 5.37 | 11.43 | 4 |
| 医療系計 | 15.26 | 25.78 | 4 |
| 施設総計 | 34.59 | 46.51 | 7 |
前述したように、富山では、従来の特別養護老人ホームの整備率は比較的高い。
ただし、富山の文化施設などの特性とは異なり、比較的大規模な施設が多い。これは、意図的に急速に整備してきたためであろう。また、通所利用施設が多いのも特徴である。
現在は、従来の特別養護老人ホームの役割も転換してきており、富山型デイサービスなど、新たなあり方が模索されている。
さらに、施設系サービス全体としては、福祉系施設以上に、医療系施設が整備されている。
医療系施設の比重が高いことについては、需要者側としては、福祉施設より医療施設が受け入れやすいという考えもある。富山でとくにこの理由を挙げるとすれば、他者の目を気にする傾向が未だに強いということであろう。
一方、供給者側として、一般医療施設の病床から転換した結果、数が多くなっている可能性もある。
実際に、富山で、病床の抑制が、特に強く行われてきた、様子もある。老人保健施設定員数が特に多いことなどは、タイミングも一致しているものと考えられる。
介護保険は、現在でもなお制度の形成過程にあり、以上のような状況にある富山県では、地域なりにあり方を工夫していく事が求められている。
(統計データ)
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