第4章 堅実な生活
第6節 価値ある暮らし
第1項 文化(1)
−−文化活動−−
充実した文化施設
―社会教育調査2005年―
「社会教育調査」は、文部科学省が定義する社会教育に関連した施設等についての調査であるが、その態様は多様であり、さらに、本施設・類似施設、本館・分館、公立・私立などの区分もまちまちである。また、地域性もかなりありそうである。このため、施設数などの都道府県比較を単純にすることには、問題が多く、指標の選択によってかなりイメージの異なる結果もでそうである。以下は、こうした問題点を棚上げしており、ひとつの結果として見ていただきたい。
| 富山 県施 設数 | 人口百万 人当たり 施設数 | 全国 比 | 都道 府県 順位 |
| 全国 | 富山 |
| 公民館(本館) | 317 | 85.2 | 285.1 | 3.35 | 3 |
図書館 (本館・分館) | 60 | 23.3 | 54 | 2.32 | 2 |
博物館(公立) (除く;類似施設) | 35 | 9.4 | 31.5 | 3.35 | 3 |
| 文化会館(公立) | 27 | 13.7 | 24.3 | 1.77 | 7 |
| 体育館 | 123 | 52.2 | 110.6 | 2.12 | 10 |
女性施設 (婦人会館) | 6 | 1.4 | 5.4 | 3.86 | 1 |
| 青少年施設 | 14 | 10.3 | 12.6 | 1.22 | 18 |
公民館 富山県の公民館(本館)の数は、人口当たりで全国の3倍以上あり、都道府県の中では3番目に大きなものとなっている。なお、本館に対する分館の比率などをみると、その制度は地域によってかなり違っており、ここでは、本館の数を捉えた。ちなみに、富山県の小学校数は200強であり、概ね小学校区(いわゆる校下)に1,2施設あることとなる。これは、自治体が管理する公民館に限定されているのであろう。富山県民の公民館の意識は、最小単位の地区ごとの公民館(集会所)であると考えられるが、これを他地域と比較するとどうなるのかは情報を持っていない
図書館 富山県の図書館(本館・分館)は60館であり、人口当たりで全国比の2倍以上となり、都道府県の中では2番目の多さとなっている。ちなみに富山県内の中学校数は約80でこれを下回っている。
博物館 博物館には美術館等も含まれ、さらに類似施設もあるなど多様な施設がある。公立博物館のみを数えると富山県内には35館あり、人口当たりでは全国の3倍を超え、47都道府県の中では3番目に多い。
文化会館 富山県には文化会館(公立)が27館あり、人口当たりで全国平均の1.8倍となっている。
体育館 体育施設には、フィールド施設を含め多様なものがあり、施設全体の比較は難しい。
体育館では、富山県に123館あり、人口当たりで全国平均の2倍を超えている。
女性施設 女性施設とされる施設は富山県内に6施設あり、人口比では全国平均の3.9倍となり全国で最も多い。
青少年施設 富山県には青少年施設とされる施設は14施設あり、人口比で全国平均の1.2倍で、ほぼ全国並みとなってい。
富山県の社会教育施設は、青少年施設を除き、人口規模に比して極めて多くあるといえよう。これは、県土に分散して居住する人々の需要を満たすために施設数が多くなったと、一応考えられよう。また、文化会館などでは、これまで35あった市町村が競い合って建設したという経緯もあるとされる。さらに、文部科学省の規格にあった施設として造ることによってそれなりの補助金が得ることができ、自ずと多くなったという見方もあり得よう(ちなみに文部科学省の補助金は定額で額の小さいものが多いとされる)。
右図は、47都道府県の人口当たり各種社会教育施設数の分布を平均50、標準偏差10に換算して得た、北陸3県の位置付けである(ここでの平均は47都道府県値の単純平均)。
47都道府県では、平均からσ(標準偏差)以上乖離した(60以上の)地域は8都道府県程度、さらに2σ以上乖離した(70以上の)地域は1,2都道府県程度あることが想定される。
このうよな尺度で見ても、富山県の人口当たり社会教育施設の数が、都道府県の中で極めて多いものとなっていることが理解できよう。
右図は、47都道府県の人口当たり各種社会教育施の職員数の分布を平均50、標準偏差10に換算して得た、北陸3県の位置付けである。
各種施設の職員については、勤務形態に専任、兼任、非常勤があり、やはり単純な比較は難しい。また、現在、指定管理者制度が導入されており、都道府県間の相互比較は、運営制度の比較の意味も含までしまい、関連事業の展開の実態は直接的には捉え難い。
富山県の各種施設の職員数については、施設数ほど全国平均から乖離してはいないが、概ね、施設数と同様の傾向にある。ただし、文化会館については職員がかなり多くなっている。
社会教育施設の整備水準の比較については多様な限界はあるが、上述のように、富山県は概して充実とているといえよう。
なお、人口当たり指標でみたが、人口密度の高い地域であれば、少なくとも使いやすい易さの面で問題がないと捉えられることにも留意が必要である。
以上のように、富山県の社会教育質背については、概して充実した水準であるが、これに対して、県民がどの程度積極的にいろいろな活動をしているかを見ると、総務省の「社会生活基礎調査」では、スポーツ・文化活動の行動者の率(1年間の間に何かをやった人の比率)は、都道府県の中では、中位以下となっている。
また、学習活動の行動者の率は、都道府県の中では、中位程度にとどまっている。
ただし、スポーツ・文化活動、学習それぞれの行動者率が高い地域は、主として大都市圏の都府県であり、施設の充実度と並べて検討する指標ではないかもしれない。
以上を総括すれば、富山県では、「社会教育」施設について、行政が努力して充実させてきたが、県民はそれほど踊ってはいないということになろう。
→2002年統計による記述
(統計データ)
(Dec.17,2008)
文化活動の課題
生活時間については、着実に第3次活動の時が増え、生活を楽しむ方向に向かっている。その楽しみ方は各自が決めていくものであり、他人が評価するものでない。
富山県では、例えば、以下の趣味活動の内容や酒類の嗜好などで見られるように、相対的に旧来の楽しみ方の継続が多いようにみられる。しかし、新しい楽しみ方も展開しつつある。
近年、各人の文化活動の一端がインターネットによって見えるようになってきている。地域の文化活動の活性化にはこのことの意味を考え、認識を深めていく必要があるのではなかろうか(Sept.11,2008Add.)。
趣味活動をする人の率(行動者率)
低調で多様化が進んでいない
富山県民の趣味(娯楽を含む)に関する各種目の行動者率(過去1年間での経験)は、全国平均より概して低い。これは、多様なことを積極的にやる人が人口の多い大都市圏地域に多いためである。富山県の水準が都道府県の中で低い位置にあるということではない。富山県では、趣味の行動の多様化が大都市圏地域のようには進んでいないともいえよう。
全国に比して富山県でより多く行われている趣味の種類としては、土地住宅の広さから園芸、日曜大工があり、また伝統的な趣味として華道、茶道、民謡があげられる。
全県で結集すれば一万人を超える規模
「社会生活基本調査」で調査された趣味の範囲内では、1年間に行動した人が最も少ない種類でも、富山県全体では約1万人となる。これだけの人口がいれば、この一定割合でも組織化されれば、仲間としていろいろなことができるようになろう。今後の情報化の中で効果的なネットワークの形成が進めば、県の人口規模の小さいことが、各種の趣味を行うための障壁ではなくなることが期待される。
例えば、バードウォッチングをやった人は概ね11千人となっているが、この人達のネットワークができれば、地域の野鳥に関する情報の交流、蓄積はもとより、その趣味に必要な資機材も提供されようし、それを指導するサービスなども盛んになろう。
(以上は、1996年統計による分析・考察)
やや低調な趣味活動
−−「社会生活基本調査(2001)」結果−−
2001年の社会生活基本調査によれば、富山県で過去1年間に趣味の活動をした人の率は、84%であり、全国の86%よりやや低いものとなっている。
本調査によれば、生活活動の各分野での行動者の率は、一般に大都市地域で高く、周縁地域で低い結果が出ており、富山県は大都市地域の外縁部にあって、行動者率は全国平均よりやや低めとなっている。この実態には、各地域の人口の年齢構成の影響もあるが、仮にこれを補正して見ても、この傾向は認められる。
なお、統計の精度もあり、ことさら指摘しても実態はずれている可能性が十分あることに留意しておく必要がある。
富山県の趣味活動の内容で、全国より特に多いのは、伝統的な邦楽、華道、茶道である。これは、過去の統計でも見られ確かな傾向であろう。
一方、特に少ないのは、読書、カラオケ、テレビゲーム等となっている。
(年代論・・・年齢階層別性向)
趣味活動の内容を年齢階層別に見ると、行動者が若い人ほど多いのは、カラオケ、テレビゲーム、映画鑑賞などである。
これらの趣味は、敢えて言えば、衝動的な気分の発散と見られようか。
→1996年統計による年齢階層による違いの分析
→年齢階層別統計分析の枠組み
行動者が25-44歳層で多いのは、読書、スポーツ鑑賞、パチンコなどとなっている。
これらの趣味は、敢えて言えば、暇つぶし的なものと見られようか。
さらに、行動者が、55歳以上で多いのは、園芸、美術、演芸等鑑賞、日曜大工などである。
これらの趣味は、多少は積極的な行動として捉えることができようか。
(時代論・・・時代別性向)
趣味の内容の経年的変化については、テレビゲームの拡大が際立っている。
また、カラオケやパチンコについては、ピークを超えたようにも見られる。ただし、この推移は、人口の年齢構成の変化にもよるところも大きい。
(世代論・・・コーホート集団(同年生まれ世代)別性向)
さらに、年齢階層別の経年変化では、読書や日曜大工が世代の移行とともに年齢層が上がっているようである。
(統計データ)
次頁
節目次
表紙
(Dec.17,2008.Rev./Aug.31,2002.)