第5章 モノづくり指向の産業
第1節 産業構造の転換

第1項 産業構造の特徴
―物造りに特化した産業―

モノづくりからサービス提供へ
―2010年国勢調査1%抽出集計結果―

 産業別就業者数の変化でまず目立つのは、モノをつくる産業(第一次、第二次産業)で大幅に減少していることである。
 中でも減少の最も多いのは製造業であるが、中分類ベースでは、業種ごとに違いがでている。
 建設業の減少も大きいが、これは景気の低迷とともに、公共事業の大幅削減の影響が大きい。
 なお、その他のサービスでの減少は、主として人材派遣の大幅減少であり、この相当部分は製造業、建設業の減少に対応しているものとみられる。
 農業については、0年代前半に、他産業からの退職者(高齢者)の増加があり、新しい動きかとも見られたが、最近の5年間では、大幅に減少しており、一時的な綾にとどまった。
 卸小売の減少も大きいが、卸は景気低迷と情報化の中での減少、小売は零細企業の淘汰と大型店の展開の一段落が要因と捉えられよう。
 サービス関連については、まず医療福祉の大幅増加が当然予想されたものであった。
 多様なその他生活関連サービスでも増加している。
 情報サービスの増加も時代の趨勢である。
 宿泊飲食の増加については、宿泊(中分類)で約6千人の増加が見られるが、実態との関連性が理解できない。ご存知の方に教えていただきたい。
 分類不能での増加も一つの特長かもしれない。






(統計データ)

(Jul.08,2011)



二次産業就業者構成比は最大
─2010年国勢調査確報─

 2010年国勢調査で、富山県の就業者総数中の二次産業就業者数の構成比は、33.3%であり、都道府県の中で最大であった。1%抽出統計の段階では、5番目であったが、確報で改まったものである。
 1%抽出統計では31.9%であり、5,000程度の標本数として33.3%からの乖離は2σ程度であり、起こりうる誤差である。

 二次産業就業者数の構成比の大きい県は、富山に次いで岐阜、静岡、愛知、滋賀などが並び、30%以上はいずれも中部と北関東の諸県である。

 全国各都道府県の就業者の産業構成は、地理的な位置で大きく規定されている。
 具体的には、大都市圏のサービス業等の卓越した都府県、大都市圏周辺の製造業の卓越した県、その他の農業が比較的多い県、及びこれらの中間に位置する地方中枢都市の所在県の概ね4つのグループに分けるることができよう。

 なお、このような産業構造は地理的位置のみによって自ずと形成されてきている訳ではなく、富山県については、発電や築港、企業誘致といった明治期以降の先人の努力に負うところが大きい。また、戦後では、新産業都市やテクノポリスなどの事業の展開が貢献しているといえよう。さらに、これまで公共事業によって支えられてきた建設業の大きさも寄与している。



 製造業の構成比の大きいのは、東海・北陸及び北関東の一帯である。



 また建設業の構成比の大きいのは、主として日本海沿岸の一部の県である。
 富山はこの双方の範囲の重なった位置にあり、結果として、第二次産業の構成比が全国で最も大きくなっている。

 ちなみにこのような位置付けは、日本の中央地域及び日本海沿岸地域といった二つの豊かさの交差点の視点とも重なっているといえよう。



 富山県の就業者の産業大分類別構成比を全国の構成比と比較した場合、製造業及び建設業が大きく上回っている。これに対して、飲食店・宿泊を始めとする多くのサービス業で全国を下回っている。ただし、医療・福祉は全国を上回っている。

 一次、二次、三次の産業分類は産業の特性によって区分したものであるが、産業立地の地域特性によって構成した産業分類により都道府県を位置づけると、各地域の性格が一層明確になる。


(統計データ)

(Apr.30,2012)


 平成14年3月日本標準産業分類が改訂され、大分類が19項目に増えている。
 具体的には、従来の「サービス業」の拡大に対応して、分類を「飲食店・宿泊業、医療・福祉、教育・学習支援業、複合サービス業、サービス業(他に分類されないもの)」に分割したものである。このうち、その他サービスには、理美容・娯楽等各種生活関連サービス、事業所支援各種サービス、文化・宗教・政治など多様なものが含まれる。また、人材派遣業は「民営職業紹介業」として「その他サービス」に、「請負等」については業務の実態に合わせて分類されることとなるが、実態は極めて曖昧であろう。
 なお、飲食店はこれまで「卸・小売業、飲食業」となっていたものから「卸・小売業」と分割されている。
 またこれまでの「運輸通信業」は「情報通信業」、「運輸業」に分割されている。
 ちなみに、これ以外では、「製造業、卸・小売業」が大きな項目であるが、これらはそれぞれ「工業統計表」、「商業統計表」があり、産業中分類、さらには小分類で統計が整理されている。
 なお公務は従来どおり、「公務(他に分類されないもの)」である。


第二次産業に特化した産業構造
─2009年経済センサス-基礎調査─

 「平成21年経済センサス-基礎調査」の結果速報が発表された。この統計は、統計法(平成19年)によって定められた新たな基幹統計調査で、事業所及び企業の経済活動の状態を調査し、すべての産業分野における事業所及び企業の従業者規模等の基本的構造を全国及び地域別に明らかにすることを目的としている。また、各種統計調査実施のための基礎資料ともなる。なお、これまでの事業所統計等を引き継ぐものでもある。
 なお、調査対象範囲は、すべての事業所及び企業であるが、農林漁家に属する個人経営の事業所、家事サービス業及び外国公務に属する事業所は除かれている。

 国勢調査による産業別就業者数と異なり、農林漁家に属する個人経営の事業所は含まれないため、多くの兼業農家での農業従事者(主として高齢者)を除外する結果となっているが、富山県などでは、より産業の実態を表すのかもしれない。

 事業所総数は、ほぼ6万所(59,984所)あった。
 産業大分類の業種では、卸売業・小売業(16,629所)が際立って多い。
 次いで、建設業(7,059所)宿泊業,飲食サービス業(6,341所)製造業(5,625所)生活関連サービス業,娯楽業(5,134所)となっている。



事業所数従業者数事業所当たり
従業者数
全産業59,984576,8819.62
農業,林業3825,70814.94
漁業4285320.31
鉱業,採石業,砂利採取業705307.57
建設業7,05948,1136.82
製造業5,625131,38123.36
電気・ガス・熱供給・水道業1114,17037.57
情報通信業4837,76016.07
運輸業,郵便業1,22027,35122.42
卸売業,小売業16,629105,8816.37
金融業,保険業1,06313,64912.84
不動産業,物品賃貸業2,3837,9843.35
学術研究,専門・技術サービス業1,93812,6396.52
宿泊業,飲食サービス業6,34143,9936.94
生活関連サービス業,娯楽業5,13423,2004.52
教育,学習支援業2,42525,58010.55
医療,福祉3,60559,84916.60
複合サービス事業5204,9469.51
サービス業(他に分類されないもの)4,43938,7708.73
公務(他に分類されるものを除く)51514,52428.20
 一方、従業者総数は約58万人(576,881人)であった。2005年国勢調査の就業者総数は57,8051人であり、農業の一部など統計に含まれない者、景気低迷の中での減少を勘案すれば、統計調査の網羅性に懸念を持つ必要はないだろう。
 産業大分類では、製造業(131,381人)が最も多く、次いで、卸売業,小売業(105,881人)である。製造業は事業所当たり従業者数が23.36人/所と特に大きい。これに対して、卸売業,小売業は6.37人/所と小さい。
 二大業種に次いで、医療,福祉(59,849人)、建設業(48,113人)、宿泊業,飲食サービス業(43,993人)が並ぶ。建設業は、事業所当たり従業者数が6.82人/所に留まっている。


事業所数の多い業種 1,000所以上従業者数の多い業種 10,000人以上
76飲食店5,28476飲食店31,579
60その他の小売業5,05583医療業30,806
78洗濯・理容・美容・浴場業4,07858飲食料品小売業27,928
58飲食料品小売業3,98485社会保険・社会福祉・介護事業27,553
7職別工事業(設備工事業を除く)2,78124金属製品製造業27,211
6総合工事業2,46760その他の小売業26,977
83医療業2,3196総合工事業21,388
82その他の教育,学習支援業1,91181学校教育19,038
57織物・衣服・身の回り品小売業1,82644道路貨物運送業16,629
8設備工事業1,81192その他の事業サービス業16,516
94宗教1,7038設備工事業13,733
59機械器具小売業1,6777職別工事業(設備工事業を除く)12,992
69不動産賃貸業・管理業1,59116化学工業12,202
85社会保険・社会福祉・介護事業1,22798地方公務12,168
54機械器具卸売業1,02578洗濯・理容・美容・浴場業11,856

28電子部品・デバイス・電子回路製造業10,329
 産業中分類で事業所数を見ると、県民生活に必要な財サービスを提供する業種や建設業が多くなっている。
 一方、従業者数も同様であるが、事業所規模の大きな医療、社会保険・社会福祉・介護事業、学校なども多い。製造では金属製品製造業も多くなっている。


 産業構造の都道府県比較として、従業者数の構成を産業三分類で見ると、富山は第二次産業が31.1%と高い。これは、静岡、滋賀に次ぐ位置にあり、富山は、第二次産業に特化していると言える。

 なお、この事業所から従業者数を把握する統計では、国勢調査での各人が属する業種の把握とことなり、第一次産業の膨らみがないものとなっている。この結果、図では大都市圏と農業県が重なったものとなっている。



構成比が相対的に大きい業種構成比が相対的に小さい業種
24金属製品製造業3.4676飲食店-1.57
16化学工業1.3439情報サービス業-0.94
18プラスチック製品製造業0.9392その他の事業サービス業-0.75
28電子部品・デバイス・電子回路製造業0.8869不動産賃貸業・管理業-0.72
6総合工事業0.6431輸送用機械器具製造業-0.55
7職別工事業(設備工事業を除く)0.5350各種商品小売業-0.52
26生産用機械器具製造業0.4997国家公務-0.47
25はん用機械器具製造業0.4754機械器具卸売業-0.46
23非鉄金属製造業0.4780娯楽業-0.44
農業0.44
 産業中分類で従業者数の構成比が高く、同時に全国の構成比で除した値(特化係数)も高いものから、富山の産業の具体的なイメージが把握できる。上図の横軸は、全国の構成比であり、縦軸の特化係数とで構成されるそれぞれの矩形の面積(ただし底辺は0の位置とする)は、富山県のそれぞれの産業の従業者数に比例している。また、全国水準100で切った面積は、全国との差異に対応している。)
 この全国との差異が特に大きな業種として、まずアルミサッシを中心としたの金属製品製造業、医薬品を含む化学工業、プラスチック製品製造業があげられる。半導体工場などの電子部品・デバイス・電子回路製造業は工場の立地している県でそれぞれ特化係数が高いものとなっていると考えられる。
 また生産用機械器具(工作機械)も富山の特徴である。
 こうした製造業と並んで、建設業の総合工事業、職別工事業も大きい。

 他方、特化係数の低い業種として飲食、情報サービス、不動産などが並び、一般に都市的産業と呼ばれる産業の従業者が少ないといえよう。
 また、北陸地方における行政についての地方中枢都市は金沢にあり、国家公務も少なくなっている。


 事業所数の特化度では、富山県産業の業種別企業規模の特色がみられる。
 事業所数が相対的に多い業種として、まず、小売業関連、建設業の職別工事、宗教などについては、富山平野に分散して住む県民の需要に応えるため小規模な事業所が多数できているといえよう。
 地方公務が多いのもこの理由といえるかもしれない。
 その他の教育・学習支援は小規模な熟が沢山あるということだが、これも同様の理由が指摘できるかもしれない。
 また、農業及び協同組合は、兼業が卓越する富山県の農業の特色からでているものであろう。
 卸売については、消費地卸は少なく、産地卸は多いということになっている。
 不動産が少ないのは人口の移動が少ない結果といえよう。
 県民の日常の消費需要を満たす飲食店が少ないということについては、富山で外食化が進んだのはチェーン店の展開以降であり、小売店のように古くからの需要に応えて多店舗があるという状況ではない。


(統計データ)

(Mar.02,2011)



就業者の産業大分類での構成

 2005年国勢調査では、富山県の就業総数は578,051人であった。これは5年前に比して、19,651人・3.3%の減少である。
 産業大分類別では、製造業が最も大きく24.5%(1/4)を占め、次いで卸・小売業が17.1%(1/6)となっている。
 さらに、10%前後(1/10)で、その他サービス業、建設、医療・福祉が並んでおり、次いで、4%前後(1/25)で運輸、飲食・宿泊、農業、教育・学習支援が順に並んでいる。

 増加の著しいサービス関連産業の詳しい統計については、 「サービス業基本調査」があるが、民営のみの統計では、相当部分が公的に担われている教育、医療・福祉に欠落があることに留意するが必要がある。また、 「事業所・企業統計」の統計も活用できる。
 国勢調査では1%抽出で産業中分類の都道府県値が掲載されているが、小分類については抽出詳細集計として概ね2008年中に遅れて発表となる。



 各業種の男女別構成比について見ると、男性が特に多く規模の大きい業種は、建設業、製造業であり、双方とも最近5年間に雇用を大きく減少させている。
 これに対して、医療・福祉では女性が太宗を占めており、また雇用は急速に拡大している。

 産業構造の急速な変化や働く人の高齢化、定年退職等が相まって、今後とも雇用の構造は急速に変化していく。  

(Jan.20,2007.Rev.)


(統計データ)
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(Apr.30,2012Rev./...)