第5章 モノづくり指向の産業
第4節 労働の課題

第2項 雇用機会(2)
−−職業の変化−−

マニュアルワーカーからシンボリックアナリスト、インパーソンワーカーへ
―2010年国勢調査1%抽出集計結果―

 職業別就業者数の変化については、事務、販売、生産工程、土木建設を含めいわゆるマニュアルワーカーと考えられる職業での大幅減少が目立っている。
 サービスでの増加については、介護での増加があるが、飲食物調理も同様に増加している。
 なお、専門技術の増加の中にも保健医療、福祉専門職が含まれている。これらはインパーソンワーカー職の増加と言えよう。
 また、技術者、法人団体役員を含めてシンボリックアナリストも一応増加していると言えよう。
 清掃の増加は、アウトソーシングの増加であろうか、あるいは就業難の中での供給サイドでの事情であろうか判別できない。
 職業についても産業と同様に、分類不能での増加は一つの特長かもしれない。






(統計データ)

(Jul.08,2011)


急速な職業の変化
―国勢調査での職業中・小分類別就業者数の変化―

 以下は、国勢調査による2000年〜20005年の職業の変化の説明であり、この間の経済活動の変化の特徴が読み取れる。




千人以上減少した職種

職業中分類2000年
就業者数
2005年
就業者数
増減率増減数増減内容
金属加工作業者33,46629,219-12.7 -4,247アルミサッシ等製造の不振
技術者22,06818,181-17.6 -3,887建築技術者の減少
建設作業者30,50726,741-12.3 -3,766公共事業等建設の減少
電気機械器具組立
・修理作業者
16,83513,149-21.9 -3,686(電気店等の減少か?)
商品販売従事者61,25558,714-4.1 -2,541小規模店舗の廃業
衣服・繊維製品
製造作業者
6,6334,362-34.2 -2,271発展途上国との競合による
繊維等製造の不振
一般事務従事者102,355100,258-2.0 -2,097IT化による会計事務担当の削減 
会社・団体等役員11,3829,554-16.1 -1,828企業経営組織の合理化
飲食物調理従事者16,88015,308-9.3 -1,572宿泊施設・飲食店等の不振
その他の管理的
職業従事者
4,9523,588-27.5 -1,364企業経営組織の合理化
自動車運転者17,34316,142-6.9 -1,201 企業経営組織の合理化
木・竹・草・つる製品
製造作業者
5,1274,027-21.5 -1,100発展途上国との競合による
雑貨製造の不振
事務用機器操作員2,6141,585-39.4 -1,029広範な普及による
電子計算機等オペレーターの減少
 千人以上減少した職種(職業中分類)の内容をさらに詳細な職種(職業小分類)等によって概観すると概ね次のとおりである。
@いわゆる構造不況業種での工員等の減少
・建築の低調からアルミサッシ等金属製品製造工の減少
・公共事業を始めとした建設の低調から建設技術者、建設作業員の減少
・発展途上国との競合から衣服・繊維・雑貨等製造工の減少
・宿泊施設・飲食店等の不振による飲食物調理従事者の減少
A情報技術の一層の浸透による職業構成の変化
・会計事務職の減少
・事務用機器操作員の減少
B企業経営組織の合理化による人員削減
・会社・団体等役員、その他の管理的職業従事者の削減
・自動車運転者の削減
C業態変化による旧来事業の廃業
・小規模店舗の廃業による店主を中心とした商品販売従事者の減少
・電気機械器具組立・修理作業者の減少については電気店等の減少か?


20%以上減少した職種

職業中分類2000年
就業者数
2005年
就業者数
増減率増減数
船舶・航空機運転従事者16289-45.1 -73
事務用機器操作員2,6141,585-39.4 -1,029
採掘作業者716437-39.0 -279
外勤事務従事者897556-38.0 -341
衣服・繊維製品製造作業者6,6334,362-34.2 -2,271
林業作業者520359-31.0 -161
その他の管理的職業従事者4,9523,588-27.5 -1,364
管理的公務員1,288943-26.8 -345
漁業作業者1,5471,165-24.7 -382
電気機械器具組立・修理作業者16,83513,149-21.9 -3,686
法務従事者296232-21.6 -64
木・竹・草・つる製品製造作業者5,1274,027-21.5 -1,100
定置機関・機械及び建設機械運転作業者4,6493,662-21.2 -987
紡織作業者3,7683,007-20.2 -761
窯業・土石製品製造作業者3,5132,809-20.0 -704
 減少率が20%以上の高い職種については、内容は重なるが、従業者数の少ない職種では、次のとおりとなっている。
・漁業不振による舶・航空機運転従事者、漁業作業者の減少
・林業作業者も減少
・建設関連各種職種も採掘作業者、定置機関・機械及び建設機械運転作業者、窯業・土石製品製造作業者
・外務事務は集金人の減少
・法務事務はその他の法務従事者が皆減となっている(意味が理解できない?)


千人以上増加した職種

職業中分類2000年
就業者数
2005年
就業者数
増減率増減数増減内容
その他のサービス
職業従事者
7,23912,09767.1 4,858介護職員
(治療施設,福祉施設)
保健医療従事者22,94325,32010.4 2,377看護士、薬剤師
分類不能の職業1,2173,424181.3 2,207新職種の発生
一般機械器具組立
・修理作業者
10,44112,27017.5 1,829一般機械器具
組立作業者
運搬労務作業者14,84716,46710.9 1,620配達員
生活衛生サービス
職業従事者
8,6159,78713.6 1,172美容師(助手を含む)
社会福祉専門
職業従事者
5,7266,83519.4 1,109保育士、その他の
社会福祉専門職業従事者
保安職業従事者6,0977,10216.5 1,005警備員
 千人以上増加した職種(職業中分類)については概ね次のとおりである。
@人口の高齢化に伴う、福祉・医療関係職の増加
・介護職員を中心としたその他のサービス職業従事者の増加
・看護士、薬剤師を中心とした保健医療従事者の増加
・保育士、その他の社会福祉専門職業従事者も増加
A好況製造業種での工員の増加
・一般機械製造の好況による一般機械器具組立作業者の増加(現在は減少局面にあることが予想される)
Bその他新サービス需要の増加による従業者の増加
・分類不能の職業の増加
・宅急便配達員を中心とした運搬労務作業者の増加
・美容師(助手を含む)を中心とした生活衛生サービス職業従事者の増加
・警備員を中心とした保安職業従事者の増加


20%以上増加した職種

職業中分類2000年
就業者数
2005年
就業者数
増減率増減数
分類不能の職業1,2173,424181.3 2,207
家庭生活支援サービス職業従事者9291,77290.7 843
その他のサービス職業従事者7,23912,09767.1 4,858
音楽家,舞台芸術家9841,18320.2 199
美術家,写真家,デザイナー1,5101,81520.2 305
 増加率が20%以上の高い職種については、内容は重なるが、従業者数の少ない職種では、次のとおりとなっている。
・家庭生活支援サービス職業従事者はホームヘルパーの増加
・音楽家,舞台芸術家及び美術家,写真家,デザイナーの芸術家の増加(これは今後の方向として興味深い)


(統計データ)

 今後の社会経済の変化の方向として、少数の人で効率的に物を作り、その他の大勢の人は互いに多様なサービスを提供しあうことが考えられる。
 そして、現在の職業構成の変化は、この方向に一致していると捉えられる。
 ただし、この変化の過程には摩擦が多く、現在、多くの失業者等が出て困難な問題に直面している。
 新たな方向が整合性のとれた社会経済構造として存在し得るのか、そして、意図して社会経済構造を変革していくことができるのか、判然としない面が多い。
 しかし、社会経済のあり方として、長期的にそして地球的に見て間違いのない方向と考えられ、意図的な変革を試みていくこともあり得るのではなかろうか。
 具体的には、福祉、医療、教育等に一層の資金が回っていくように制度を変革していくことであり、我が国は、諸外国(欧米先進国)と比較してもこうした変革が遅れているように思われる(この点は精査が必要)

(Dec.10,2008)




富山県の就業者の職業構成の考察




2007年就業構造基本調査

(Jun.04,2008)


明確になってきた職業構造の変化の方向
−−国勢調査結果−−

 2000年国勢調査の第三次集計の富山県分が公表された。
 この中には、職業別就業人口など、経済構造の長期的変動を検討する貴重な統計が含まれている。
 ただし、「公表した旨(2002.06.29.)」が公開のインターネットホームページで公表されいるが、現時点では、総務省統計局の特定のデータベースの中に掲載されており、県等の特定者のみが閲覧可能のため、問い合わせる必要がある(2002.08.03.)。
 (参考;2005年国勢調査結果/1995年国勢調査結果/1997年就業構造基本調査)

 職業大分類別就業者数の変化を1990年代前後半の各5年間で見ると、後半には、一般に言われている、長期的な職業構造の変化の方向が明確になってきたと捉えられよう。

 技能工,採掘・製造・建設作業者及び労務作業者の減少については、中国等との競合の中での製造業の厳しい状況や公共工事の抑制の結果である。産業では、製造業、建設業の就業者数の減少に対応している。
 管理的職業の減少については、厳しい景気動向の中での企業の組織改革の結果であるが、同時に情報システムの普及により、管理的職業の必要性が乏しくなりつつあることを反映しており、長期的動向に沿うものである。
 農林漁業作業者の減少は、高齢者の退出が大きいにも拘わらず、若年者の新規就業が伴わないためである。富山県の農業・農地を適正に維持していくために、どの程度の就業者が必要かは知らないが、地域なりの対応が必要かと思われる。

 一方、専門的・技術的職業の増加は、今後の経済活動が知的創造に向かわなければならないことの現れである。また、介護等の医療・福祉専門職が求められていることの影響も大きい。教育職については、生涯学習の必要性から見て潜在的には増加の可能性があるが、学齢期若年者の減少から、現在のところ就業者の増加は乏しいであろう。これらの具体的な動向については、職業中分類統計を入手し分析する必要がある。
 サービス職業については、介護保険の導入により、ホームヘルパー、介護職の増加が著しかったものと考えられ、今後とも増加していくであろう。

 上述のような職業構造の変化を職業の性別構成と重ねて見ると、男女の職業需要に大きな差異がでてくる。
 減少の趨勢にある技能工,採掘・製造・建設作業者及び労務作業者は男の比重が大きく、また管理的職業は殆どが男である。
 一方、増加の趨勢にあるサービス職業は女の比重が大きい。
 しかし、専門的・技術的職業には男女双方とも一定の就業がある。
 いずれにしろ、社会全体としても、個々人の職業生活においても、専門的職業能力を形成することが重要であることは間違いない。
 特に、これまでのように、組織に勤めるサラリーマンとして、その組織の文化を体得しつつ、組織内の階層を登っていく生き方は通用しなくなるだろう。各自が、広く社会に通用する能力(エンプロイアビリティ)を高めつつ、生きていく、流動性の高い社会が予想される。
 (参考;1995年国勢調査)

 一年前(2001年6月)に発表されている1%抽出集計結果では、専門的・技術的職業が減少していたが、これは確率的に400回に1回程度現れるまれな結果であった。

(統計データ)

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(Jul.08,2011Rev./Aug.03,2002.)