第5章 モノ作り指向の産業
第2節 各業種の動向
第8項 サービス

相対的に乏しい遊興サービス
─2009年経済基礎センサス─

 産業大分類のうち、いわゆるサービス業に通常含められるのは次の7業種であろう。
・学術研究,専門・技術サービス業
・宿泊業,飲食サービス業
・生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
・医療,福祉
・複合サービス事業
・サービス業(他に分類されないもの)
 このうち事業所数では宿泊業,飲食サービス業が最も多く、従業者数では医療,福祉が最も多い。

 さらに産業中分類の業種で従業者数の多いものから並べると、飲食店32千人、医療業31千人、社会保険・社会福祉・介護事業28千人、学校教育19千人、その他の事業サービス業17千人、洗濯・理容・美容・浴場業12千人などとなる。


 47都道府県の人口当たり事業所数、従業者数を比較し、富山の偏差値(平均値との乖離を標準偏差を尺度として測ったもの)を求めると、事業所数、従業者数ともに相対的に多い業種が目立つ。
 詳細に見れば、古くから自然発生的に生まれたサービスは事業所が多く、かつ大概従業者も多くなっているといえよう。これは、富山平野に分散して住んでいる人々の需要に応えた結果といえよう。
 これに対して、学校や福祉施設のように政策等によって整備されたサービスは事業所が少なく、相対的に事業所の規模が大きくなっていると言えそうである。
 他方、遊興系といえる娯楽、飲食・宿泊は少ない。


 飲食業の状況を産業小分類で見ると、専門料理店が事業所数、従業者数とも最も多いが、酒場、バーキャバレーについても小規模な事業所が多数ある。


 都道府県毎の人口当たり事業所数・従業者数比較では、富山県で小規模なすし店の多いことが目立つ。
 また、配達業も多いが、これは自宅等での会食で仕出しを採ることが多いということであろう。


 医療では、大規模な病院、中小規模の診療所、歯科に加えて、数多くの零細な療術所がある。


 人口当たり療術所事業所数は、富山県は極めて多い。


(統計データ)

(Dec.26.2011)


経済化の方向転換
―高効率化、高齢社会化モードへ―

 総務省「サービス業基本調査」(2004年)の結果が発表された。サービス業を本統計のみで語るには不十分であるが、「事業所・企業統計」(2001年)等を援用しつつ、最近の動向を整理してみる。
 近年のサービス経済化は、産業面では生産の効率化支援サービス、生活面では高齢者支援系や各種癒し系サービスの増大が専ら進んでいるようだ。

 「サービス業基本調査」は、民営企業を対象としており公的企業は対象としていない。このため、教育医療福祉など大きなサービス業の分野が抜け落ちている。特に、2000年からは介護保険制度が導入されており、事業が急拡大している。
 また、「サービス業基本調査」自体の業種の範囲についても、2004年調査では網羅的なものとなっているが、1999年までの調査では、医療・福祉、教育、飲食サービスなどのかなりの部分が除外されており、サービス業の全貌をイメージできるものとはなっていなかった。このため2004年調査での過去からの変化の検討でも、この分野が欠落している。
 サービス業には、社会変動に伴う産業・生活の変化がいろいろと反映する。また、サービス業は全般に雇用所得が大きく、地域の所得の循環への寄与もあり、その動向には関心が持たれる。

 サービス業の変化として、まず細分した各業種の就業者数を5年前と比較してみる。
 産業活動へのサービスについては、専門サービス業が、土木建築サービスはもとより、特許事務所、公認会計士事務所、税理事務所などでも減少しており、高度な事業展開のための専門的業務の外生化は進んでいないようにみられる。なお、専門サービスの中では、実数は小さいが法律事務所は増加している。
 一方、増大した業種は、産業機械レンタルや警備などであり、事業展開の効率化を求めた外注化が進んでいるとみられる。また、産業廃棄物処理でも増大しているがこれは、法制度の改正が背景であろう。
 他方、消費生活へのサービスについては、まず、多様な教育・文化サービスの減少が目立っている。ただし、この中には旧来からあった習い事などが減少し他の分野での増加を相殺している部分もあると考えられる。また、娯楽関連サービス宿泊関連サービスも総じて減少している。これらはかつての生活文化の高度化のイメージの修正を求めるものであろう。なお、学校教育関連サービスは1999年以前の統計には含まれていないことに留意しておく必要がある。さらに 普通洗濯業(クリーニング)も減少しているが、これは所得低下の中での節約的消費行動であろうか。なお、娯楽の中では、映画館が増加しているが、これは、郊外展開の大型店の集客を核とした各種サービスの展開の一環といえよう。また、自動車整備業の減少は法制度の変更が背景であろう。
 一方、就業者が増加しているサービスとしては、冠婚葬祭業、療術業、フィットネス、公衆浴場、獣医業、宗教などがあげられるが、これらは、高齢者対応を含め健康・癒し指向のサービス業といえよう。また、保育業の増加は民営化が進んでいるためかと考えられる。民間非営利団体の増加については、他地域と比して富山では相対的には少ないものの、新しい生活を模索する県民が動き出していると解釈できよう。ただし、官製団体が多いことは否めないようである。
 以上のように産業生産支援サービスについては、高度化技術化というより、高効率化へ、消費生活支援サービスについては、かつてイメージされた高度な文化の豊かさの開花というより、癒し系モードへと突入しつつある。
 このような変化は、1989,1994,1999年のサービス業基本調査の変化の中では明確に見えず、「事業所・企業統計」(2001年)では部分的に兆しが見えていたものであるが、今回の基本調査で新たな趨勢としてはっきりしてきたということができそうである。


健康・福祉で進み、飲食・娯楽で遅れるサービス経済化
―全国の中での富山県の水準―

 次に、人口当たり就業者数を比較することによって、富山県のサービス業の活動水準をみる。
 サービス業基本調査(2004年)における、富山での就業者総数は119,196人であり、人口千人当たり107人であった。全国では、116人/千人であり、富山は全国平均よりかなり低いが、都道府県の中では16番に位置している。
 これは、サービス業就業者数が大都市都府県に著しく偏っているためであり、全国平均値を超えるのは、東京、大阪、愛知、石川の4都府県に留まっている。
 逆に、大都市圏では中心都府県に集中しているため、その回りの県では極端に低くなっている。
 大都市圏以外で比較的高いのは石川を含め地方中枢都市所在県であり、これに北海道も含まれている。
 また、本州中部に位置する諸県でも、比較的高い。
 なお、沖縄、島根でも高くなっており、かつてであれば、潜在的な失業を含んでいる可能性があったが、今日の状況については、精査が必要であろう。


 サービス業中分類業種について、人口当たり就業者数を全国平均と比較すると、富山が全国平均より高いのは、宿泊、医療、福祉関連、共同組合、理美容等衛生関連、自動車整備、宗教などである。こうした業種は、基礎的生活を支えるサービスであるが、かつて家庭内にあった機能の外生化を一層進めているとも捉えられる。
 他方、全国平均より低いのは、消費生活面では飲食、娯楽、教育・学習支援であり、産業生産面では不動産、専門サービスである。こうした業種の低さは、選択的生活を享受しない、創造的活動を盛り上げない環境にあると捉えられよう。


共同組合
 農林水産業就業者千人当たり188人で、管理機能のある東京、大阪に次いで多い。
 これは、兼業農家が主体で、農業就業者として数えられていない者の支援も行っているためである。


宗教
 仏教系宗教に従事する人は、北陸3県共通して多い。
 ちなみに富山では、キリスト教系が極めて少ない。


飲食
 飲食サービスへの人口当たり就業者は、都道府県の中で33番目に位置し、本州中央部の中では最も低い。


 飲食サービスの中では、一般食堂は全国平均に近いが、専門化した西洋料理、日本料理、さらには喫茶、ハンバーガーが低い。


娯楽
 娯楽サービスへの人口当たり就業者は、都道府県の中では、44番目と極めて少ない。


 ウエイトの大きいパチンコホール、ゴルフ場で低いことが目立つ。


専門サービス
 専門サービスへの人口当たり就業者数は、都道府県の中で22番目と中間にあるが、実態は、大都市地域に著しく偏っている。


 細分類では、法律・特許さらには機械設計といった高度に専門化されたサービス及び他に分類されない多様なサービスの少なさが目立つ。


(統計データ)


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(Dec.26,2011Rev./Dec.23,2005.Re_write)