市街化調整区域での住宅開発
─富山市での人口変化─

 旧富山市内の校下別に最近5年間の人口の変化を見ると、多くの校下が減少を示している中で、幾つかの校下では増加を見せている。
 まず、都心の安野屋、総曲輪、八人町、五番町で若干ではあるが増加した。これは、いわゆる都心居住推進の一環としてのマンション建設の効果であろう。ただし、郊外部での住宅団地建設で見られるような比較的若い夫婦と子供で構成する核家族ではなく、単身者あるいは、比較的高齢の夫婦が多いようである。都心部の小学校の統合に見られるように、子供の人口は著しく減少している。
 郊外部では、新保、藤ノ木、山室中部、堀川南、光陽、新保、蜷川といった市街化区域内での人口増加が明確である。
 その他の人口増加の校下としては、まず市街化区域内の萩浦があるが、これは、住友運河周辺地域の再開発に伴うものである。
 これ以外では、土地利用計画の方針を変更し、市街化調整区域での住宅開発が行われたものである。

 熊野では、珠泉西、珠泉東として新規の住宅団地開発が行われいる。
 現在、国土庁がWeb(LUCKY)で提供する土地利用計画図では、この範囲は、市街化調整区域であり、かつ農用地区域となっている。

 市街化調整区域であっても計画的に施設の整備等がなされる一塊の住宅団地の開発は、都市計画制度上許容されるが、市全体として、本当に必要な開発であったかは疑問が大きい。
 特に、農用地区域の転用は、「当該施設の整備のために他に適切な土地が求められない」ことが条件であるはずであるが、この条件は充たしていないことは明らかである。


 上条では、上条新町での新規の住宅地開発が行われているが、ここも市街化調整区域の農用地区域である。



 倉垣では、つばめ野として新規の住宅団地開発が行われいる。
 ここは、市街化区域であるが、かつての市街化調整区域の都市計画を変更している。これも市全体の観点からは、必要性のない変更ではなかろうか。


 これらの市街化調整区域での住宅地開発は、土地利用計画の基本的考え方に反するものであり、また富山市は都心居住を旨とするコンパクトシティの形成を宣言しているが、この方針にも逆行するものである。
 このような住宅地開発は、土地所有者や開発事業関係者にとっては、大いに推進したいところである。また、新規居住者にとっては、相対的に安価で広めの住宅が確保でき、自動車を利用すれば生活に困ることもなく好ましいことは間違いない。また、直接関係しない市民がことさら反対することもないであろう。本来、為政者が許可しないことが必要であるが、票で選ばれる為政者としては、困難なことであろう。このために、委員会制度等があるのだが都市計画審議会や農業委員会が適正に機能していないといえるのではなかろうか。ちなみに農業委員会は身内の委員会であり、このような開発抑制について機能することはもとより期待できない。
 最後の砦としては、マスコミや学識者が、地域の土地利用の在り方を常日頃から議論し、共通認識を形成している必要があるのだが、富山では、こうした活動は低調である。
 全国の中での富山の位置付けは容易でないが、土地利用計画をかなり柔軟に運用し、結果として一層の農地転用、人口の拡散を促し、充実した都市を形成せず、地価水準を低いものとしてきたことは間違いないであろう。

 一塊の新たな住宅団地の開発では、入居者の年齢層が揃い年齢構成に波が生じる。
 この結果、年月の推移によって高齢化比率の極めて高い地域が生じることとなる。特に、次世代の居住が円滑に進まないと、歪な年齢構成の地区となり、ひいては地域の諸活動に様々な支障をきたし、住宅地の崩壊につながっていく。
 昨今、富山市の郊外部、特に市街化調整区域、さらにその外延部で開発されている住宅団地については、世代を経ずして崩壊していく虞が強いのではなかろうか。

(統計データ)
(町丁別年齢別人口統計)

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(Jul.25,2011)