二極化する地価動向
―都道府県地価調査結果(2004年7月)―

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 我が国の地価は、バブル経済期を前後して乱高下した。
 1990年代末以降の住宅地価格については、全国的には大都市圏で大幅な下落が続くと共に、その他地域(地方圏)でも下落率を拡大していた。しかし、2004年には大都市圏では下落率の若干の縮小があり、その他地域と概ね同水準となった。

 富山については、これまで、概ねその他地域の動向と同じ推移をたどっていたが、2002年以降は、下落率がより大きくなった。


 この結果、富山の2004年の下落幅は、全国で最も大きなものとなっている。
 また、石川についても富山と似た動向を示している。これに対して、福井は、概ね全国平均と似た水準で推移している。

 (右図のみ、データを更新。Sep.21,2008.)



 2004年で下落率が特に大きいのは、富山、千葉、石川であり、これに北関東、近畿の地域が続いている。
 これに対して、下落率は特に小さいのは、島根、南九州、東京などであった。

 ちなみに、2002年から2003年への変化率と2003年から2004年への変化率の差を調べると、三大都市圏での下落率の縮小が明確であり、逆にその他地域の多くでは下落率の拡大が見られる。
 このような地価動向の二極化については、今後さらに注視していく必要があるが、経済社会動向の長期的趨勢として継続することが懸念される。


 なお、東京都の地価水準を100とした場合の富山県の地価は、14.1であり、多くの県が10-20に位置している。


 

大幅に下落する商業地価格

 商業地の地価については、バブル経済崩壊直後の数年間は、三大都市圏での地価下落率が特に大きかったが、近年の下落率は、その他地域と差が次第になくなり、2004年には、ついに逆転した。

 富山県については、近年概ね全国平均の推移と重なっていたが、最近は、下落率が特に大きくなってきている。


 この結果、2003年からは下落率が全国で最も大きくなった。

 (右図のみ、データを更新。Sep.21,2008.)



 下落率が富山に次ぐのは、茨木、栃木となっている。

 富山県では、商業統計に見られるように、小売販売額も際立った下落 を見せている。
 また、富山県は、土地利用制度を相対的に緩やかに運用している傾向があると見られる。さらに、北関東と並んで、全国でも有数の自動車社会を形成し、都市郊外での新たな立地を許容していることが、既存商業地価格の下落に拍車を駆けているものと見られる。


(統計データ)

 地価の下落については、基本的には、景気の低迷・商業の不振が背景にある。しかし、土地利用による期待利益に基づく地価水準 からの乖離を修正するという過程が働いている面もある。
 経済活動の長期低迷が予想される中では、キャピタル・ゲイン(資産価値による利得)含みの価格は期待できず、土地本来のイン カム・ゲイン(期待利益)による価格を背景にした需給関係から決まらざるを得ないであろう。
 しかし、金融機関を始めとした多くの企業等が、資産として土地を所有しており、その減価は、企業の存続に拘わるものとなって いる。これに関連して、信用システムの崩壊は避ける必要があり、公的介入も否定できない。ただし、厳格かつ透明に行い、いわゆ るモラルハザードを避けるべきことはいうまでもない。英知を持った厳正な施策が講じられてないいことが、経済の低迷を長引かせ ていることは、多々議論されているとおりであろう。
 翻って考えれば、地価がインカム・ゲイン水準となることによって、都心地域等の効果的な利用が促される可能性がでてくる。こ の際には、土地利用計画のけじめのある運用が必要なことはいうまでもない。


相対的には住宅地価格の大きな減少
―都道府県地価調査結果(2007年7月)―

 2007年7月の都道府県地価調査結果については、商業地の全国平均が16年ぶりに上昇に転じたことやその格差の拡大が一層明確になっていることなどが特徴として報道された。これらは、いずれも、2004年頃からみられた趨勢が明確なものとなってきたことを再確認したものである。

 富山県の住宅地前年比増(減)率は2.8%減で、都道府県の中では33番目の位地にあった。

図は2008年データに更新→





 一方、商業地前年比増(減)率は2.6%減で、都道府県の中では22番目の位地にあった。

図は2008年データに更新→





 地価変動の二極化の中で、富山県は、商業地については中間的な位置にあるが、住宅地については、やや低下が大きい位置にあると言えるのではなかろうか。


(統計データ)

(Sep.23,2007.Add.)





供給過剰による住宅地価格の低下
―都道府県地価調査2008年7月―

 2008年7月都道府県地価調査での住宅地価格の前年からの変動は、富山では3.4%減少となり、前年の2.8%減に比較して、下げ幅を拡大した。
 国全体では1.2%減少であり、富山は都道府県の中で8番目に下げ幅の大きな県となっている。


 都道府県毎の住宅地価格の変動率を見ると、上昇しているのは、千葉〜兵庫に至るいわゆる太平洋メガロポリスの都府県に限られている。また、これをとり囲む本州中央部の諸県については、下げ率幅が比較的小幅のものにとどまっている。
 こうした中で、富山は 福井と並んで大きな下げ幅となっていることが目立つ。


 富山の下げ幅が大きい理由について、マスコミ報道では、住宅地の供給過剰があげられている。
 富山県の近年の人口当たり住宅地造成面積は、全国で最も大きく、富山県と同様に地価の下げ幅の大きい福井も4番目の大きさとなっている。
 宮城、滋賀、奈良等については、宅地造成が多くても、需要もあり過剰とはなっていないようだ。
 逆に、徳島、高知などは、宅地造成は少ないが、地価の低下は大きい。


地価変動率
(2008年前年比増減率%)

住宅地商業地
富山市▲3.1▲2.4
高岡市▲3.4▲3.8
魚津市▲2.6▲1.1
氷見市▲3.9▲5.4
滑川市▲3.9▲3.5
黒部市▲2.9▲2.6
砺波市▲7▲4.4
小矢部市▲4.2▲3.6
南砺市▲3.5▲5.2
射水市▲3.4▲5.8
舟橋村▲0-
上市町▲3▲3
立山町▲3.9▲6
入善町▲3.9▲4.7
朝日町▲3.2▲5.7
国土交通省『都道府県地価調査』
 また、県内市町村の住宅地で最も下げ幅の大きい砺波市では、土地区画整理事業によって多くの住宅地が造成されてきた。


相関係数(R2)住宅地
価格
上昇率
住宅地
造成
面積
人口
増加率
住宅地価格上昇率1

住宅地造成面積-0.0451
人口増加率0.613-0.0281
 ただし、都道府県毎の住宅地価格の変動率は、人口の変動率が60%程度の説明力を持っている。これは宅地需要と直結する指標であり当然のことであろう。
 これに対して、宅地造面積には、説明力はない。人口増加率の説明の残余との相関もない。
 宅地造成面積については、土地価格の評価の際に周辺地域の土地需給状況として勘案しているであろうから、個別的には地価に影響を与えていることは間違いない。
 しかし、この検討で見る限り、都道府県の住宅地価格の変化要因として、宅地造成面積に普遍的に言及することはできないようである。

 富山の2008年に起こった住宅地価格の大幅下落と長期的な宅地造成の旺盛さを関連付けようとしていること自体に無理があるのかもしれない。


(統計データ)

(Sept.21,2008)


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(Sept.21,2008Rev./Sep.23,2002.Rev.)