第3章 ゆとりある郷土
第3節 居住環境
第3項 環境施設の整備(2) −−汚水処理施設−−
家庭の汚水処理には、いわゆる下水道で収集しまとめて処理する方法と戸別に合併浄化槽で処理する方法がある。この整備に対する国の補助制度には各省庁にわたって多様なものがあり、これまで、いわゆる縦割り行政の典型例であった。このため、一般には下水道と認識される施設であっても、統計上はその他の施設とされているものもあるなど留意が必要である。以下では、水洗化に繋がる「汚水処理」を「下水道」と「合併浄化槽等」に分けて表現する。また、人口普及率とは、総人口に対する普及率で、世帯数によるものでないことを意味している。
施設の整備に当たっては、一定の制度の下で、人口密集地区では下水を収集するシステム、人口分散地区では各戸の処理システムと地域毎に最適なものを選択していけばいい。ただし、これまで、縦割り行政のため、システムの相互比較を適正にすることが困難であった。さらに下水道であれば、終末処理場の設置をなるべく少なくしたいという意向が働き、事業規模が大きくなりがちで、地域毎のきめ細かな検討が難しかった。
しかし、近年では、下水道の整備が相当程度に進んできたこと、財政的事情から下水道整備ばかりを主張できないことなどから、システムの適正な選択が強調されるようになってきている。
高い水洗化率 ―公共下水道に依存した汚水処理―
富山県では、1990年代を中心に、精力的に流域下水道等の整備が進められ、この結果、家庭のし尿処理の水洗化率は急速に高まった。
2007年度実績では、人口の93.1%で水洗化を実現している。これは、都道府県の中ではほぼ大都市圏に次ぐ10番目の位置にある。
し尿処理について、水洗化を公共下水道とその他(各戸の浄化槽及びコミュニティプラント)に分け、非水洗と合わせてみると、公共下水道の比率が、富山県では66.3%であり、大都市圏と同様にかなり高い。
一般に都市地域では公共下水道、農村地域等住宅が分散した地域では戸別の浄化槽が想定される。
富山県では、人々は富山平野に分散して住み、都市(DID)人口比率はかなり低いのだが、それに比して、公共下水道の比率がかなり高くなっている。
これは、概ね30年前(1980年以前)に、流域下水道の整備方針が決定され、小矢部川流域、神通川左岸の平野のかなりの部分を処理範囲として、施設の整備が営々と進められてきたものである。
また、その他の地域でも順次、公共下水道の整備が進められてきている。
ちなみに、 合併浄化槽、コミュニティプラント等による処理については、県内では、宇奈月町、下村、五箇三村及び集落から孤立した住宅など一部に限られている。なお、孤立住宅での合併浄化槽処理は砺波市などで若干多い。
県全体として、し尿処理の方法として浄化槽による方法はあまり省みられず、生活排水とし尿とを合わせた、合併浄化槽の整備はあまり進んでいない。
なお、し尿単独の浄化槽は国内では、生産されなくなっているとのことである。
下水処理方法の選択について、公共下水道か合併浄化槽かの選択の議論は従来から問題とされてきたものである。もちろん各住宅と公共下水道の敷設範囲との位置関係で選択する基準が示され、状況に応じて対応されてきている。
県内での公共下水道の整備については、1990年代に費用支出の山を越えており、現在では一段落している。しかし、公共下水道の整備によって、膨大な負債を抱える結果となっている。
(統計データ)
(Feb.18,2011)
高い汚水処理人口普及率 ―急速に進む下水道・合併浄化槽等の整備―
富山での2004年3月現在の汚水処理人口普及率は、81.7%であり、全国の77.7%を超え、都道府県の中では9番目に高いものであった。汚水処理人口普及率は、一般に大都市地域で高いが、北海道、長野でも高く、富山もこれに次いでいる。
汚水処理の普及は、我が国全体でも急速に進んでいるが、例えば最近の4年間で普及率が特に向上したのは、鳥取の20%ポイントであり、これに次ぎ、富山、島根、長野が並んで17%ポイントの伸びとなっている。
このうち、長野、富山はそれぞれ主として下水道の普及が進んだが、鳥取、島根は、下水道とともに合併浄化槽等の普及も進んでいる。
一般に、住居が分散した地域ほど合併浄化槽等が望ましくなると考えられるが、具体的には、地域毎の実情に合わせて、システムの選択がなされていく必要がある。
富山は分散居住を特徴としており、他地域と比較して、合併浄化槽等が相対的多くなるとも考えられるが、その住宅の実際の分散の程度から勘案して大規模な流域下水道が企画され、下水道主体の整備が進んでいる。
県内市町村の汚水処理人口普及率については、井口、山田、下、大門で既に100%となっている。
さらに、これらの町村に次いで、利賀、平、上平、大山、大沢野、宇奈月が既に95%を上回っている。
普及率が特に高い、利賀、平、上平、宇奈月といった山間部の町村及び下村では、居住密度が高くないこと、あるいは人口総数が小さいことから合併浄化槽等の整備が進められ、高い汚水処理率が早期に実現している。
近年、普及率が急速に伸びた多くの町村については、下水道の共用開始が順次あったことが大きく貢献している。
また、典型的な散居村が展開している、砺波、入善については、合併浄化槽等を併せて整備して、普及率の伸びを高めている。
なお、下水道整備については、各住居から下水道管への接続が確実になされているかについても留意しておく必要がある(→旧稿参照)。
(統計データ)
(Sep.25,2004.Rev.)
急速に進む下水道整備 ―下水道普及率(対総人口比)―
2007年の富山県の下水道普及率(下水処理区域人口/総人口)は、75.4%であり、全国値71.3%を上回っている。
都道府県の中でも9番目の位置にあり、富山県より普及率が高い8都道府県は、いずれも関東、関西の都府県及び、地方ブロック中枢の政令指定都市を含む道県である。
富山県での下水道の整備は、流域下水道を主体として、長期間にわたる投資が続けられてきており、普及率は着実に向上し、2001年度に全国値を超えている。
なお、上でも述べたが、下水処理には下水道以外の方法もあり、各地域の下水道普及率(総人口比)の整備目標が100%ではないことに留意しておく必要がある。
図では、総人口に総務省の推計人口を利用しており、日本下水道協会発表の数値とは若干の違いがある。
仮に戸建てのゆったりとした住宅地(40人/ha、都市的地域の下限)を下水道敷設の下限(都市的地域の下限)と想定し、下水道処理地域人口をDID人口で除した普及率は、多くの地域で100%を超えてしまっている。つまり、都市的地域をかなり広範に超えて下水道を整備してきているといえる。
ただし、この40人/haの人口密度以下であれば、各戸別合併浄化槽の設置も可能であろうということで、下水道方式の総コストより安価なものとなるという訳ではない。
逆に、下水道排水地域の人口密度を求めると、多くの地域で40人/haを割っており、都市的地域を超えてかなり広範に下水道が整備されてきていることを意味している。
効率が低下している下水道整備事業 ―新規整備区域の人口密度―
下水道整備事業は一世帯当たり事業費などの面から見て、限界的な地区に至っているものと考えられる。
下水道の整備は、全国でも富山でも鋭意進められている。現在整備が進められている区域の人口密度については、年毎に拡大する区域面積と区域内人口によって概ね求まると考えられる。
実際には年による変動が激しいので、5ヵ年移動平均で見ると、富山では、1990年代以降に、概ね30人/haの人口密度の区域まで事業が広がってきていることがわかる。
ちなみに、国勢調査で都市的地域としてみなされる人口集中地区の基準は40人/ha以上である。地方財務協会の統計資料では、下水道普及率としてこの人口集中地区人口を分母としているものがあり、富山県は既に100%を超えている。
30人/haとは、1000m2に一軒の住宅がある程度であり、事業の効率がかなり悪い範囲になっていると考えられる。
これで即座に合併浄化槽の方が効率的ということになるわけではないが、一世帯当たり事業費などの面から見て、限界的な部分に至っているものと考えられる。
ただし、同様の値を全国各地域について求めて見ると、富山県より低く、30人/haを下回る地域が22道県もある。
(統計データ)
(Feb.18,2011.Rev./Mar.27,2005.Add.)
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(Feb.18,2011.Rev./May.19,2001.Orig.)
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