極端に広い富山の住宅
−−国勢調査結果−−

 富山県の住宅が極めて広いことはよく知られている。
 どの程度広いかについては、例えば平均面積で、全国91m2に対して、富山が146m2であり、これに次ぐ秋田の135m2より10m2以上大きいというような代表値により理解されている。
 「国勢調査」の統計は、世帯が居住する住宅に関する統計であり、住宅(空家等を含む)を直接対称とした「住宅・土地統計調査」とは異なる。


 住宅の広さ別の構成については、平明な表現が難しい。しかし、例えば、狭い住宅から累計して50%を超える広さ(いわゆる中央値)などが指標となろう。
 この広さについては、全国では70m2-であるが、富山、秋田、山形、福井、新潟では120m2-となっている。これに対して、東京は50m2-、大阪、沖縄、神奈川が60m2ーと大きな格差がある。
 このような累積図によって、富山の住宅について、狭い家が極く少なく、広い家が極めて多いことがよく分かる。
 2000年国勢調査の結果がインターネットで提供されるようになり、こうした作図が極めて容易になっている。


 しかし、地域によって世帯の規模が異なり、住宅面積はこれに対して正の相関を持つ。このため、実質的な住宅の広さについては、居住する世帯の規模を勘案する必要がある。
 回帰線はウエイトのうえ47都道府県の値によるものであり、全国平均値はこの線上には乗らない。


 世帯規模を勘案した代表値としては、一人当たり面積がある。
 これについては、全国平均が33.8m2/人に対して、富山は46.9m2/人であり、次の秋田の44.7m2/人より2m2以上広い。

 
 さらに世帯規模別に必要面積を設定し、この広さに対する倍率(「面積充足度」と呼ぶこととする。)の分布を見ると、例えば1倍未満の住宅は、全国では26%あるが、富山では11%にとどまる。
 必要面積の基準については、各自1室と共用1室とし、7.5m2/室、さらに室以外面積を勘案し、S=2x(7.5+7.5xn)とした。
 面積基準の是非はともかく、富山の住宅は、半数以上が基準の2倍を超え、居住する世帯人員数に比べても、極めて広くなっていることが判る。ちなみに、この基準で富山に並ぶのは秋田のみである。

 なお住宅面積の都道府県間の格差は、持家率の格差にも大きな相関がある。


 富山の住宅の面積は5年前に比べてもさらに広くなっており、急激な世帯規模の縮小の中で、充足度ベースで一層広いものとなってきている。


 富山の住宅がなぜこのように広いか。
 まず、県民が広い住宅を好むという説明がある。確かに多くの人が広い住宅に住んでいると、新たに住宅を準備する人も同様に広い住宅を求めるようになるだろう。ただし、これは住宅が広い理由ではあるが、積極的な説明ではない。
 基本的には、世帯が大きいことが理由となろう。世帯が大きいことの原因は、広い平野で稲作を行っていたこと、それなりの職場ができ兼業農業に特化したことで説明できよう。
 さらに、日本海沿岸の水田稲作地帯の中でも際立った広さを持っている理由としては、土地利用の規制を緩く運用し、道路網を整備することによって、平野上の土地をゆとりを持って存分に使ってきたことがあげられるのではなかろうか。

 この結果、ゆとりのある住宅の評価はともかくとして、一方で、幾つかの障害も生じている。
 例えば、年々の農地の改廃が極めて大きいこと、魅力ある(集積のある)都市の形成が進んでいないこと、自動車が生活に不可欠になっていることなどがあげられよう。これらは、地球環境問題・食糧問題・高齢化問題などが一層厳しくなる社会では今後困難な課題として浮かんでこよう。
 このような状況の波及効果として、県民の転居(社会移動)が少なく、地域社会の紐帯が強いという現象もある。しかし、社会環境が大きく変わるなかで、旧来の社会組織が足枷となり、新しい社会の形成がかえって遅れている面も見られる。

(統計データ)

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(Jan.27,2002.)