第3章 ゆとりある郷土
第5節 情報・通信

第2項 遅れる情報システムの活用

低調な情報発信
―県民のインターネット利用率―

 富山県でのインターネットを利用した人の率(行動者率)を全国での率と比較すると、富山では、いずれの項目も全国より低くなっている。
 特に、「ホームページ・プログの開設・更新」については、全国の6.9%に対し、富山は4.5%で65%の水準に留まっている。
 また、「掲示板・チャット」も全国の83%の低い水準にとどまっている。



電子
メール
掲示板・
チャット
ホーム
ページ・
ブログ
情報検索
ニュース
画像等・
ソフト
商品・
サービス
情報交換電子メール1




情報発信掲示板・チャット0.912 1



ホームページ・ブログ0.895 0.915 1


情報入手情報検索・ニュース等0.980 0.896 0.864 1

画像等・ソフト0.951 0.896 0.861 0.951 1
商 品・サービス0.949 0.892 0.872 0.972 0.920 1
 各調査項目について都道府県毎の行動者率の値の相関をとると、いずれの組合せも高い相関となるが、特に、「ホームページ・プログの開設・更新」、「掲示板・チャット」がグループとなり、一方で「情報検索・ニュース等」、「画像等・ソフト」、「商品・サービス」 が別のグループとなっている。
 前者は、「情報発信」のグループであり、後者は「情報入手」のグループといえよう。つまり、富山県では、インターネットを使っての「情報発信」が、都道府県の中では相対的になされていないということになろう。



 インターネットの利用については、年齢による差が大きい。
 富山県について、インターネットの利用「総数」について見ると、15〜24歳代が最も高く、25〜34歳代、35〜44歳代がこれに次ぎ、いずれも80%を超えている。
 項目別には、「画像等・ソフト」、「ホームページ・プログの開設・更新」、「掲示板・チャット」で15〜24歳代の若い人の行動者率が特に高い。
 「商品・サービス」の購入では、25〜34歳代にピークが移っている。これは、各年齢層の購買力が背景にあることが予想されよう。ただし、45歳〜代では若い人ほど意識が変わって(対応して)いないといえよう。
 さらに、「情報検索等・ニュース等」では、15〜44歳代までが60%を超える高い行動率となっている。


 インターネットの利用は、年齢階層によって大きく異なるため、都道府県毎の行動者率の比較については、その年齢構造に配慮しなければならない。
 以下、年齢階層に展開して、各調査項目の行動者率を比較してみる。
 まず、利用「総数」では、富山県は全国平均とほぼ重なっている。


 ちなみに、行動者率の高いのは、大都市圏の都府県に著しく偏っている。


 「電子メール」については、インターネット利用の太宗を占めており、利用の「総数」と同じパターンとなっている。


 「掲示板・チャット」については、利用が若い人に偏っているが、富山県では利用のピークの15〜24歳代の率が相対的にかなり低い。逆に、35〜44歳代では、相対的にかなり高くなっている。


標準偏差標本
数↓
比率→
10%20%30%40%50%60%70%80%90%
全体 3,6900.5%0.7%0.8%0.8%0.8%0.8%0.8%0.7%0.5%
10〜14歳 1862.2%2.9%3.4%3.6%3.7%3.6%3.4%2.9%2.2%
15〜24歳 3221.7%2.2%2.6%2.7%2.8%2.7%2.6%2.2%1.7%
25〜34歳 4641.4%1.9%2.1%2.3%2.3%2.3%2.1%1.9%1.4%
35〜44歳 4601.4%1.9%2.1%2.3%2.3%2.3%2.1%1.9%1.4%
45〜54歳 5551.3%1.7%1.9%2.1%2.1%2.1%1.9%1.7%1.3%
55〜64歳 6761.2%1.5%1.8%1.9%1.9%1.9%1.8%1.5%1.2%
65〜74歳 5401.3%1.7%2.0%2.1%2.2%2.1%2.0%1.7%1.3%
75歳以上 4871.4%1.8%2.1%2.2%2.3%2.2%2.1%1.8%1.4%
 ちなみに、調査標本数と調査結果としての比率から推定される母集団での比率の標準偏差を検討しても、上で指摘したような偏りは否定できない。

 「ホームページ・プログ」では、15〜24歳代の富山県での相対的低さが一層目立つ。



 たなみに、インターネットを利用している人の中で、「ホームページ・プログ」を開設・更新している人の比率では、富山県での低さがかなり目立つ。
 また、高いのは、大都市圏の都府県に一層偏っている。

 「情報検索等・ニュース」は、比較的年齢層が広がっており、年齢層によっては地域差がかなりあるが、富山県は全国平均とほぼ重なっている。


 「画像等・ソフト」は、若い人に著しく偏るが、富山県は全国平均とほぼ重なっている。


「商品・サービス(の購入)」も富山県は全国平均とほぼ重なっている。


 今後の地域づくりについては、これまでのように行政等に任せるのではなく、各自が積極的に発言しつつ方向を調整していかなければならないと考えられる。
 こうした観点からは、インターネットの利用率がそれなりにあるにも拘わらず情報発信の程度が低いということが地域の特徴とすると、必ずしも好ましいことではないであろう。
 地理的社会移動の少なかった富山県では、地域社会での議論、事上げが低調な傾向がいろいろと見られるのだが、意識して変わっていく必要があろう。

(統計データ)

(Nov.01,2009>


情報化指数

地方自治体のIT浸透度県別ランキング 2002年











総合12345678910
パソコン普及率7612452215318
インターネット接続率96129251625104
パソコン習熟度192943330753426
新電子自治体共同研究会
(第一法規出版・価値総合研究所・ガートナージャパン)資料
 地方自治体における職員のIT浸透度に関連して、新電子自治体共同研究会(第一法規出版、価値総合研究所、ガートナー ジャパン)が、全国の都道府県市町村3,286(2002年8月時点)自治体を調査し、都道府県別に集計した資料がある。
 これによると、富山県は、パソコン普及率及びインターネット接続率においては、全国で最も高いが、パソコン習熟度においては、全国29位と低くなっている。
 これは、ハードの施設は十分に整備されてきているが、それを積極的に活用する体制が整備されてきていない状況といえよう。
ただし、2001年調査では、富山県は総合1位、パソコン普及率6位、、インターネット普及率2位、パソコン習熟度1位となっており、あまり深読みしない方がよさそうだ。

 

ハードに強くソフトに弱い
―都道府県情報化指数―

 富山の情報化については、ハードの施設は比較的整備されてきているが、それを積極的に活用する体制が整備されていないようである。

 総務省の平成16年度情報通信白書においても、富山の情報化について、設備機器の整備は進んでいるが、その活用が進んでいない様相が窺える。
 例えば、個々人が主体的に活用する携帯電話やインターネットの利用については全国水準を下回る。しかし、CATVの整備については、行政の支援もあって、かなり進んでいる。また、関連産業の活動水準については、全国を下回っている。他方、学校での情報システムの整備は進んでいる(インターネットへの接続については、ほとんど完了しており、格差がない)
(統計データ)

(Apr.02,2005.Add.)

 ちなみに富山の行政組織でも似た状況があるように見受けられる。

 なお、富山県での住基カードの交付率については、他県に比べて高い。


各国の情報技術活用による国際競争力指数の順位

Networked Readiness Index

環境対応体制利用状況

市場行政/
規制
基盤
個人事業行政
個人事業行政
Japan20191837413217192262341
Korea14261933251261815811214
China43515052533569411451617233
Hong_Kong_SAR18212318181712231116231511
Taiwan9157231972292714184
Singapore3810113121112972
Malaysia3229357402931331838433632
Philippines62576046657063736454574856
Indonesia64656155756260526264774765
Vietnam71735972785568634377817766
Thailand41404239493639383947644536
Finland12231121231241
France19171127121619102020251324
Germany109614614205271117120
Sweden464175454103525
United_Kingdom77310141091481210813
United_States2114237174736
Russian_Federation69685874696048646178588171
世界経済会議「2002年世界IT報告」による
 実は、このような富山県の位置付けは、国際社会の中での日本の位置付けそのものであって、この意味で、まさしく富山は、日本の縮図となっている。

 ダボス会議を主催している世界経済会議は、世界IT報告として、昨年に引き続き、世界82か国の情報技術活用による国際競争力の指数を発表した。
 これによると、日本は、総合指数の順位では、世界第20位であり、シンガポール、台湾、韓国等の諸国にも遅れをとっている。
 日本の特徴を項目別に見ると、まず開発・利用に提供できる環境としては、ハードな基盤施設は整備されているが、行政/規制(開発・利用を進めるための法制度等)が特に十分でない。
 情報化社会の潜在的可能性を発現していく体制としては、事業者が利益を得るように参入していく体制はある程度あるが、個人が活用していく準備状況(リテラシーなど)が不十分である。
 さらに、実際に活用し行動様式がどの程度に変化してきているかについては、個人の活用(電話・インターネット等の利用)は進んでいるが、行政における活用(合理化の程度など)は極めて遅れている。
 以上のような結果については、情報化の推進が建前としては進められているが、組織の構成者各人が努力して社会構造を変革していくには至っていない状況といえよう。


 総合的な国際競争力については、スイスの国際経営開発研究所が発表しており、日本は、年々低下し、2002年では、第23位までに落ち込んでいた。しかし、2003年以降上昇し、2004年は23位までに戻っている。
(May.06,2004.Rev.)

 総合的な競争力とは必ずしも情報技術の活用の程度だけではないが、重要な要素であることは間違いない。さらに、情報化に対するこのような姿勢の背景にある行動規範自体が、日本の競争力を落としているものと考えられよう。


 日本の戦後の経済成長は、諸外国に追い付く過程であって、目標が明確であった。これまで、このような明確な目標に向かって集団的に邁進するシステムとして日本社会が形成されてきていた。
 しかし、今日では、社会・各組織の指導者がこの目標を明確に示す必要があり、その評価を続けながら、組織を改変しつつ進んでいく必要がある。現在の指導者層は、これまでの規範で選び抜かれてきた人々であり、その行動規範は、こうした状況に適合したものとなっているわけではない。
 日本が、競争力の地位を回復できるのは、団塊の世代が引退し、情報化に積極的に対応しようとしないような指導者層が入れ替わらないと無理だという見方が強くなっているようだ。

(統計データ)
情報源
ガートナー・ジャパン「地方自治体のIT浸透度」
World Economic Forum「Global Information Technology Report」
IMDThe World Competitiveness Yearbook

(Feb.28,2003.)




 

情報の効果的な活用
−−組織改革と各自の対応−−

 情報処理・蓄積・通信等の技術の進歩は著しく、これを有効に活用していくことによって、社会の広範囲な課題を解決していく可能性が開けている。
 これまで行政施策としては、「テレトピア構想」、「ニューメディアコミュニティ構想」、「インテリジェント・シティ構想」、「グリーントピア構想」等々多様な事業が展開されてきている。
 富山県においても地域情報化計画(平成3年)の作成等により積極的に取り組まれてきている。さらに、平成11年には、「情報フロンティア計画」が策定され社会の多様な分野での情報技術の活用を述べている。
 しかし、情報技術は既に汎用的で普遍的なものであり、こうした計画は、森羅万象について触れざるを得ない。これは例えば普遍的道具としての「活字」の積極的活用を唱える計画のようなものである。情報技術は、既に、あらゆる人がそれぞれの立場で当然に活用していくものであり、個別的に述べるような計画は、早晩消えていくものであろう。現在のような計画を続けていては、情報化は特定の担当者に任せておけばいいという誤解がいつまでも消えない。

 しかし、情報技術の積極的な活用について広範な盛り上がりを示しているとは必ずしも言えない。

 これは新しい情報技術の有効な活用には、単に特定の情報機器を導入するだけでなく、それに関連する組織機構さらには社会体制の改革が伴う必要があるからである。これはビジネス・プロセス・リエンジニアリングの導入など経営改革の過程で、さんざん経験されてきた。
 これに対応していくためには、関係者一人ひとりが、情報技術の有効性を知り、積極的に取り組んでいくことが前提となる。

 現在、急速に企業や家庭にパソコンが普及しつつあり、情報機器活用の有効性についての認識も急速に高まるものと考えられる。この状況の変化を十分に先取りして必要な社会システムの整備を着実に進めていくことが肝要であろう。

情報の社会的共有

 情報技術は様々な場面で使われる。しかし、情報化社会の最も重要な点は、インターネットを介して、多様な知識(情報)が社会全体で共有されていくことであろう。
 我々が何か行動を起こそうとした場合、まず、インターネットで情報を求め、社会が持つ知識全体を掌握し、その上に自らの知恵を展開していかなければならない。
 また、自ら知恵を働かせた者は、それを社会の共有の場に提供して始めて認められる。提供していなければ、その存在は認知されない。
 こうして社会は透明化していく。個人による情報の所有は価値が評価されず、情報の創造による共有の場への新たな提供こそ評価される。

 世界中で、日本中で、そして富山でも、情報の社会的共有は始まっている。
 富山でも生活を豊かにする情報が、蓄積されつつある(99.07.25.)。
 また、地域情報の検索サイトも整備されてきている(00.04.22)。
 こうした中で情報ネットワーク社会の像も見えてきたようである(00.08.26.)。
 さらに、21世紀出発点では、元気な活動がいろいろと見えてきている(01.01.14.)。

 情報の共有により、様々な資源の所在が明らかになり、人々は新しい様々な連携を形成していく。
 生活・地域社会の多様な課題を解決していくための、多様な連携、新たなコミュニティの形成が促される。  今後、地域の文化活動の活性化には、インターネットの積極的活用が重要であろう(08.09.22.)。
 また、産業活動においても、多様な資源の連携から、新たな複合体(コンプレックス)の形成が促される。

 多様に蓄積された情報とそれを繋ぐネットワークの総体は情報仮想空間(サイバースペース)と称される。この情報空間を整備し、快適な生活が実現していくことこそ期待される。
 このため、行政を始めとし、地域社会で活動するあらゆる主体は、自らの持つ情報が、誰にでも活用できるよう、体系的な蓄積を着実に進めていく必要がある。
 情報の所在を検索するシステム(検索エンジン)については、多様なものが整備され活用可能となってきているが、各分野毎の情報検索については、リンク集(サイバーマップ)を整備していくことも効果的であろう。

(統計データ)
(96.11.当初版、01.03.31.改訂)



インターネットは若い人ほど利用
−−「社会生活基本調査」結果−−

 「社会生活基本調査(2001年10月)」によれば、10歳以上で過去1年間にインターネットを利用した人の割合は、富山で43%であり、全国の46.4%より若干低い。
 この利用者率の高低は地域差が明確で、大都市地域ほど高く、富山は都道府県順位では中間に位置している。

 →目的別利用率地域比較
 次に見るように、この利用者率は年齢との相関が高く、全国の分布の考察では、年齢補正を行う必要がある。実際に補正すると、例えば、富山と東京の差は、原数値で15%ポイント程度であったものが、補正後で10%ポイント程度となる(15歳以上)。ただし、地域間の格差は縮小するが、分布状況自体には、大きな変動は起こらない。

 →2005年人口普及率


 富山の年齢別利用率を見ると、若い人で高く、35歳以上で漸減している。ただし、携帯電話やPHSなどによるインターネットの利用も含まれていることに留意しておく必要があろう。
 現在、インターネットは、知的好奇心の充足には不可欠の道具となっていると考えられるが、こうした年齢に沿った傾向については、加齢とともに好奇心が衰えていることを意味しているとも読めよう。
 また、多くの知的労働に不可欠なものとなっているが、組織の指導者層であっても利用しない者がおり、組織の情報化を滞らせている面があることも窺える。

 一方、利用目的別では、情報交換が最も多く、情報収集がこれに次ぐ。情報発信は若い人でも10%程度である。
 なお、このグラフ自体は、全国平均のグラフとほとんど差異がない。


 利用者率の性別の特徴としては、若い層では女の利用が高く、中高年では男の利用が高い。これも全国平均と同じ傾向である。
 中高年で男の利用が高いのは、職業生活に不可欠なことがある結果であろう。


 統計的には危なさがあるが、さらに性別の年齢階層別目的別利用者率を見ると、若年層で女が高いのは、情報交換・収集が高いためである。
 男では、情報収集での利用が35-44歳で、特に高くなっている。
 また、情報発信については、男が高く、女の倍程度の水準にある。


(統計データ)
「社会生活基本調査」
調査機関;総務省統計局
調査日;2001年10月20日
富山県での調査対象者;10歳以上、995人
Web Site;http://www.stat.go.jp/data/shakai/index.htm

(Aug.17,2002.)




情報流通量
−−情報の選択幅は狭いが消費量は多い−−

 郵政省の情報流通センサス(平成10年度)では、地域の情報流通量を詳細に積算し比較している。
 この中で、富山の一人当たり選択可能情報量は2,860百万wordsとされ、都道府県の中では10番目に低い。


 しかし、この指標は物理的な情報量を積算しており、動画を送るテレビが他の媒体に対して極端に大きな比重を占めている。例えば全国の選択可能情報量の3/4以上をテレビ放送が占め、これにラジオ放送を加えた場合、残りは5%程度となる。
 富山の場合は、民放全国ネットで3チャンネルにとどまり、CATVの加入率も必ずしも高くないため、この指標は全国の中でも低いものとなっている。


 一方、富山の一人当たり情報消費量は、130百万wordsとされ、都道府県の中では10番目に高い。これは、選択可能量とちょうど逆の位置である。
 我々は、テレビ放映される全チャンネルを一つ残らず見る訳ではない。また放送による情報は受動的に接する面が極めて強く、単に物理的情報量が、価値ある情報を享受している程度を示していると言えないことは当然であろう。
 ここで、情報消費量の統計を引用したが、この意味合いは旨く理解できない。都道府県分布パターンも、他の統計指標で見られるパターンと類似性がなく、解釈困難なものとなっている。

 多くの技術者の関心事は、専ら、いかに大容量の情報を短時間に送れるかにあり、急速な革新が続き、また実社会への普及が進んでいる。
 むしろ、現在、情報は、その物理的な量より、いかに効果的に活用しているかといった質が問われている。
 これに対して、「コンテンツ」こそ大切と主張されてきている。しかし、さらには、個々人が何のために使うのかといった「コンテキスト(文脈)」こそ問われているのではなかろうか。


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表紙

(Nov.01,2009Last_Rev./Nov,1996.Orig.)