第3章 ゆとりある郷土
第6節 変わる安全の課題
第1項 少ない人為災害
3.交通事故
成果をあげてきた交通事故対策 ―交通事故件数の推移―
富山県での2010年の交通事故死亡者数(警察統計)は58人にとどまった。これは最も多かった1992年の55%の水準である。
死亡者数の減少の趨勢はこれまでも明らかであったが、2000年代に入ってからの動きとしては、事故発生件数及び死傷者数の着実な減少も認められる。
死亡者数の減少のみであれば、救急医療体制の充実も寄与しているとも見られるが、発生件数の減少については、Y字路のT字化など道路構造の改良、交通標識の充実、交通違反取締り、その他各種の交通事故防止対策が功を奏しているといえよう。
しかし、死亡者数はここ2年間横ばいとなっており、発生件数の減少速度も低下してきているように見られ、引き続き多様な努力を続けるとともに、今後の推移を注視していく必要があろう。
なお、警察統計の死亡数は24時間以内死亡であり、実際の死亡数とは差異がある。
現在の、年間死亡者数は、自動車の本格普及以前の概ね1955年頃の水準に匹敵する。
かつて、本格的な交通事故対策が取られる以前の道路や法制度の下での自動車当たり死者数は現在の100倍程度にもなっており、今日では想像できない異常値である。
この意味で、現在の水準が、ここまで下がったから十分などとはできないだろう。しかし、この水準は、例えば自殺による死亡者数の1/5以下であり、かなり低くなっていると評価はできよう。
現在、自動車の保有台数がピークを超え減少し始めているが、これが交通事故発生にどのような影響を与えるかは、今後の推移を見守っていく必要があろう。
全国各都道府県でも交通事故の減少は進んでいる。
特に、人口の多い大都市圏地域で、人口当たり死亡者数は相対的に少なく、全国平均値を引き下げている。
また、事故死者数の絶対水準の低下の結果、年々の値は変動率がかなり大きくなってきている。
各都道府県の最近3年の年間平均死亡者数については、人口当たり自動車台数との相関もあるが、地域性も見られる。
まず、四国地方については対応の遅れがあるといえよう。北関東の栃木・茨城、及び中部等の福井・岐阜・滋賀・三重は自動車が多いととともにこれまでの経済活性化の趨勢の中での対応の遅れがあるのであろう。 富山については、自動車の多さから見ればよく対応しているといえるが、道路予算を交通安全対策に回せば比較的対応しやすい県であるとも考えられる。
(Feb.28,2011)
交通事故と自動車保有台数の相関については、これまで世帯当たり乗用車保有台数などとの相関がかなりあったが、こうした関係は崩れてきているようにも見られる。これについては、新たな統計の下で確認していく必要がある。
都道府県毎の人口当たり自家用車保有台数と人口当たり交通事故死亡者数には相関がある。ただし、大都市地域で両方の数値が特に低いことが相関係数を高くしており、これを除くと、相関はほとんどない。
富山は、自動車保有に比して事故死亡者は少なくなっている。
(Sep.20,2004.Rev.)
各種の交通安全対策の結果、現在では、高齢者が取り残されている状況が明確になりつつある。
高齢者の死亡事故は、道路を漫然と歩き、不注意に横断したりする結果といわれる。
また、高齢者が事故原因の第一当事者となるものについては、慣れた道路の交差点での一時停止の不履行など漫然とした運転が多いとされる。(富山県警察本部交通事故分析研究班「高齢者が第1当事者となる事故の状況」)
このような事故の防止については、注意を呼びかけることはともかく、根本的な対策は難しい。
このことから、年々の交通事故死亡者数の減少は、早晩限界にくるのかもしれない。
基本的には、自動車を利用しなくても生活できる地域社会を造ることこそ大切であろう。
(統計データ)
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