第2章 富山の舞台
第1節 自然と生活の舞台

第2項 富山の気象(2)
−−変化の兆し−−

降雨は梅雨で増加、台風で減少
―10年間での過去平均値の変化―


 地域の気象状況の平年値として使われる過去平均値(30年間平均)が、1971年〜2000年平均から1981年〜2010年平均に入れ替えられた。
 この結果、富山市の年間平均気温は、0.4℃上昇し、14.1℃となり、平均降水量は、44mm増加し、2297mmとなった。


 ただし、1年間を通して、一様に気温が上昇し、雨量が若干増加した訳でなく、季節によって変化に違いがある。
・まず、年頭の気温は変化していないが、3月半ばまで次第に上昇している。このため、降水量は増加しているのだが、富山市の降雪量は減少気味となっている。ただし、若干海抜を上がれば、降雪量の増加となっていることを意味している。これは、日本海の海水温の上昇により蒸発する水蒸気が増加しているための可能性がある。
・3月半ばには、年間を通じて最大の0.8℃上昇となっている。また、降水量も増加しており、天候が不安定になっている。
・6月の初めは降水量が減少しており、逆に7月の半ばには降水量がかなり増加している。これは梅雨の時期が遅くなっていることを意味しているのであろう。そして梅雨全体としては降水量が増加する結果となっている。
・8月初めの気温上昇は僅かに留まっているが、その後、次第に上昇し、9月半ばから10月前半にかけては0.5℃の上昇になっている。これは、残暑が厳しくなっていることを意味しよう。
・また、8月初めから9月前半にかけての降水量はかなり減少している。これは、台風による降水量が減少しているのであろう。ただし、来襲する台風自体は、かつてより強力なものとなっているようだ。

 以上のような変化は、1961年〜1990年平年基準から1971年〜2000年平均基準に切り替わった際も見られたようだが、今後の変化の長期的趨勢と判断するのは、拙速かもしれない。


(統計データ)

(May.21,2011)


温暖化した富山
―1961年以降気象データから―

 富山においても気温の上昇、積雪量の減少が見られる。

 気象は、日々、年々大きく変動しており、数少ないデータから、気象の趨勢的変化があることを述べることは難しい。さらに将来に向かって、温暖化が進んでいくことなどの判断については、そのメカニズムについての理論的解明も必要であり、特定地点の限られたデータから導くことはできない。地球温暖化と関係付けて、地域の気象データを見る場合には、常にこの節度をわきまえている必要がある。
 もちろん、富山の気象変化の見通しは、それなりに検討されている。

 しかし、過去の特定期間の気象が、他の期間の気象に比べて違った様相を示していることを事後的に指摘することは可能である。
 特定地点での気象現象を表すための平均気温などは、過去30年間の平均値を用いることが習慣となっており、10年間毎に改訂されている。以下では、1961年から1990年までの30年間の平均値を基準値として、年々の値の格差について検討する。

平均気温
 平均気温については、1990年代以降は、過去の平均値より高くなっており、さらに'90年代前半より、後半が一層高くなっていることが見られる。

 なお、右図は、概ね地球全体の気温の変化と似たものとなっている。
 これが一時的現象か今後も続く現象かは、これだけのデータから判断できることではない。
 しかし、状況の変化がない場合のプラスマイナスに振れる確率をそれぞれ1/2とした場合には、1991年以降の13年間で過去30年間の平均値より低かった年が1年のみにとどまったという現象は、0.17%の確率で起こるものである。この意味で、「1990年代以降の気温は高くなっている。」とすることは差し支えない。


 この気温の変化を月別に見ると、季節性が見られ、冬季1-3月、及び10月の気温上昇が1度前後で特に大きい。これに対して夏季5-8月の気温上昇は0.5度前後にとどまっている。


 季節毎の変化に関連して、夏日(最高気温25度以上の日)日数、真夏日(最高気温30度以上の日)日数については、1990年代半ばから増加している様子が見られる。
 これに対して冬日(最低気温0度未満の日)日数の減少は、概ね1980年代半ばから見られ、その減少幅は一層大きい。


 ちなみに、2月及び8月それぞれの平均気温の変化については、1985年前後及び1990年前後の時期に逆方向の変化が見られたが、1990年代後半以降では、双方が温暖化の方向に偏っている。
 このような変化については、単に季節性を持ちながらも一定の変化をするのではなく、経年的に循環して、あるいは年々無秩序に変化していく可能性もあり、今後の変化を見極めていく必要があろう。


日照時間
 一方、日照時間は、1980年代半ば以降、減少している。


 この日照時間の変化を月別に見ると、明確な季節性が見られ、6月を中心として夏季の減少が特に大きく、10-4月の減少は相対的に少ない。
 この減少は、年全体で約10%、6月については約20%の大きさであり、今後の米作に懸念を抱かせる。


降雨量
 他方、降雨量については、一定方向への明確な変化は見られない。


 季節毎の変化についても不規則であり、1991-2003年の結果も偶然の結果が現れていると解釈するのであろう。


積雪深度
 降雪累積量については、1980年代半ば以降の減少が明らかに見られる。


(統計データ)

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(Feb.11,2004.)