第2章 富山の舞台
第3節 経済構造の変革
富山県の諸活動を考える基礎として、「県民経済計算(県民所得統計)」を中心に、その経済構造について検討する。
統計発表の時期や当方との対応の遅れ等によって、記述の基礎となる統計の年次が不揃いとなっていることに留意してください。
第1項 県民所得 構造転換 動向 勘定体系
富山県の1人当たり県民所得の全国での位置は、長期的に大きく変動している。現在は、バブル期に相対的な位置が低下したまま、停滞が続いている。
また、各所得勘定の構成の変化から、サービス経済化と称される経済構造の変化が窺える。
なお、所得統計の理解のためには、所得勘定の体系について、理解しておく必要がある。
第2項 生産 産業活動 要素所得
製造業を中心とする第二次産業が卓越しており、1990年代前半まではその比重を増していたが、現在は大きく減少している。
ただし、それに代わる新しい産業形成が進んでいるわけではない。経済環境が大きく変わる中で新しい産業構造の形成が求められていることは明白である。
第3項 分配 部門間移転 家計 政府 企業
高齢化社会の中で、政府を通じた所得移転が年々拡大している。また、景気低迷の中で刺激策としての公的支出も継続している。この結果として膨大な公的債務が累積している。
福祉と負担の関係を経済システム全体の中で理解し、今後の社会の明示的な選択が求められている。
第4項 支出 所得の処分 消費 投資
個人の消費性向は全国の中で極めて低い。
このため、主として借り入れにより政府投資が進められている。
第5項 将来展望 将来推計 経済改革のシナリオ
国民総生産の変動を与件として、富山県なりの整合性のとれた経済像を描くモデルを検討した。
しかし、構造的変革が進んでいる時代の将来推計は、定性的変化を十分に理解し、想像を逞しくしてシナリオを描くことが基本であろう。
第2、4、5項の分析は、概ね10年前のものですが、所得統計の構造の理解には役に立つと思います。
本節の内容は、県民所得統計をめぐる分析、解説にとどまっているが、我が国を取り巻く構造的な課題については、第5節の後半で言及した。地域のあり方を考えるには、こうしたことの意味を十分に理解している必要があろう。
産業構造の課題としては、経済のグローバル化の下で、一方で先端的産業の展開が首尾よくできず、一方で安価な労働力等を持つ発展途上国に追い上げられ、地域なりの方向性が見出せない時代が続いている。実態としては、所得の国際的平準化が進んでいる。
所得の分配の課題としては、公的債務が個人の貯蓄を使い込んでおり、殆ど破局を経ないと解決できない状況に近づいている。低迷する景気に対してはセフティネットを一層充実し、債務の削減に耐えていくことが求められている。
支出については、個人消費の低迷が嘆かれるが、むしろ欲望の解放により世界全体が限界に来ていることに気付き、方向修正が必要となっている。
わが国経済は、このような環境の中で、地球社会で共生できるシナリオを描き、それに向かって改革を遂げていく必要がある。
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