極めて低い人口移動率
―都道府県の人口移動率の推移―
富山県の人口の社会移動は、全国の中でも極めて少ない。ただし、県境を超えた移動では、基調として流出超過を続けている。
富山県の県境を超える人口の移動については、1990年代半ばに、団塊ジュニア世代の大学等卒業に伴うUターンによる流入超過があったが、その後は再び流出超過基調が続いている。
域内移動
富山県の人口当たりの社会移動数は古くから、極めて低い水準で推移している。
まず、県内での移動率については、2005年10月からの1年間で全国では、人口千人当たり23.2人となっているが、富山県では、11.5人で全国で最も少ない。(県内移動;各都道府県の区域内で, 市区町村の境界を越えて住所を移した者の率。)
各都道府県の年々の移動率については、大きな変動がある地域は少なく、それぞれ一定の水準で推移している。
ただし、兵庫県は、1995年に震災の影響で移動率が高くなったが、その後次第に低下してきている。また、北海道では、札幌に向かった移動が進んでいる。宮城県は、1980年代末から移動率が一段高くなっている。
なお、2005年に富山県の移動の水準が一段低下しているのは、市町村合併が進みこれまで、統計上社会移動と捉えられていたものが、市町村内となったため、社会移動と看做されなくなったためと考えられる。
このように、域内社会移動率の都道府県間比較については、市町村の区域設定の影響があることに留意する必要がある。特に、市町村数の少ない、富山や福井は、統計上の移動率が一層少なくなっていると考えられる。ただし、国勢調査に市町村内移動も含めた社会移動の統計があり、この統計でも、富山・福井などの移動率が低いことが確認できる。ちなみに、この統計では、富山県での1995年からの5年間の県内移動率が12.8%(年間約2.5%)となっている。つまり年間約1%の市町村内移動があることを意味している。
なお、過去半世紀の人口の県内移動率を見ても、富山県は継続して全国の中でも低い水準にあった。
富山県に次いで県内移動率の低い県としては、秋田、新潟、福井と日本海沿岸の県が続いている。
この地域はかつて日本の穀倉地帯とも称され平野が広がっており、自動車を利用すれば域内の移動は比較的容易である。このため、仕事等を変わっても、敢えて転居する必要がないことが、域内社会移動の少ない大きな要因となっていると考えられる。
一方、移動率の最も高いのは北海道であり、これに沖縄が次いでいる。これは、札幌、那覇への人口集中が進んでいるためであろう。
さらに、大都市圏地域及び宮城県、広島県、福岡県といった地方中枢都市所在県となっている。なお北海道もこの分類に入れて考えることもできよう。
域外移動
(転入)
他方、県境を越えた移動を転入についてみると、全体として、沈静化に向かっている。
なお、東京都の転入については、概ね2001年まで横ばいか続き、その後ゆっくりと低下している。
転入について、全国の20.3人/千人に対して、富山県は13.3人/千人で低い位置にある。
全国で最も低いのは、北海道であるが、これを含めて、以下日本海沿岸の諸県が続いている。
転入の多いのは、東京、神奈川、千葉、埼玉と首都圏が並んでいる。
(転出)
県外転出率についても、当然ではあるが、沈静化に向かっている。
特に、東京都の転出については、急速な減少となっている。
各地域の転出の水準は、概ねと転入の水準に対応するものとなっている。
ただし、大都市圏を除き、転出は転入に比して、水準が一段高い。
過去半世紀では、1960年代央に団塊の世代が学齢期を通過し、高くなっているが、各都道府県概ね併行して変化してきている。
こうした中で、富山県では、全国の中でも特に低い水準が続いている。これは大学等の収容力が低かったにも拘わらず、働く場が充実しており、就職のための高卒転出者が少なかったためといえよう。
人口の社会移動率(県内移動率+県外転出率)と世帯規模については、ある程度の相関がある。
社会移動が低い水準を保ってきた富山県は、山形県や福井県と同様に、その他の地域ほど世帯規模の縮小が進んでいない。
ちなみにこの相関係数は、現在では、かつてより低下しているようである。
(転入超過)
関心が持たれるのは転出入差であるが、2005年10月からの1年間で、転入超過となっているは、大都市圏の9都県に限られており、残りの38道府県について転出超過であった。
富山県については、1.18人/千人の転出超過であり、超過率では、大きい県から数えて31番目であり、比較的少ないい位置にある。
これまでの推移では、1990年代半ばに転入超過となっており、多くの地域でも転出超過率の低下が見られるが、これは、大学等に進学した団塊ジュニア世代のUターン期に当たっている。
過去半世紀の推移では、団塊の世代の移動時に特に純移動(大都市圏への人口集中)が大きかったが、それに較べれば、その後は沈静化している。
(統計データ)
(Apr.21,2007.Rev./Nov.23,1997.Orig.)
高い定住率
−−国勢調査に見る人口の社会移動−−
国勢調査では、5年前からの住所の変更について調査している。
この統計によれば、富山では、住所を変更していない人の比率が82.4%で、全国で福井、秋田に次いで高い。
石川及び京都・兵庫を除き日本海沿岸県の定住率は高く、水稲栽培の広がる地域に共通した特長となっていると考えられる。
移動(移動前住所)を県内と県外に分けると、都道府県の中では県内の移動について大きな格差が見られ、富山では県内移動が特に少ない。
(統計データ)
(Feb.16,2002.)
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(Apr.21,2007.Rev./Nov.23,1997.Orig.)