第2章 富山の舞台
第4節 国際社会の中で

第1項 産業の転換

貿易依存度の上昇
─中国さらに東南アジアへの拡大─

 富山県の産業に関連する貿易の動向を直接把握できる統計はないようだ。富山で通関する貿易は把握できるが、これで富山県の産業に関連した貿易を理解できる訳ではないだろう。
 しかし、富山県の産業も当然ながら貿易の動向、国際環境に影響を受けて変化している。このため、わが国全体の内容ではあるが貿易の動向を理解しておく必要がある。

総額

 我が国の貿易額は、2000年代に入って急速に拡大し、2008年には輸出入それぞれ80兆円にまで達している。
 2008年9月に発生したリーマン・ショックにより、2009年の貿易額は急減し、2010年に入って、回復しているが、まだもとの水準には戻っていない。


 貿易額のGDP比の推移では、これまで、長期間にわたり10%前後で推移していたものが、2000年代に入って急速に上昇し、一旦は15%を超えることになった。この率もリーマンショックで一旦落ち込み、2010年にはある程度戻っている。
 こうした貿易の拡大は、国内の産業構造に大きな変化をもたらしている。


地域・国別

 まず、21世紀の'00年代前・後半に分け、我が国の輸出入それぞれの地域毎の増減率により、貿易の動向を概観する。2010年の貿易額は異常値であり、動向を捉えるためには相応しい時点でない面もあるが、今後の動向が分からない中では、やむを得ない。

 輸出入双方とも前半はかなり高い伸びを示したが、後半は低いものに留まっている。
 こうしたなかで、北アメリカは減少を続けており、西欧についても低い伸びに留まり、特に後半は輸出が減少となっている。
 これに対して、アジアでの拡大は大きく、中東、中南米も高い伸びとなっている。アフリカについても、後半の輸入は減少となったが総じて高い伸びとなっている。またオセアニアも総じて高い伸びとなっている。
 こうした動きからは、これまでの先進国間の貿易から経済発展の著しい途上国との貿易に移行していること、資源・エネルギーの確保が貿易動向の重要な要素となっていることがうかがえる。


 輸出額の動きを国別にみると、まず、中国への輸出が急速に伸びている。ちなみに香港経由の輸出も多いことに留意が必要である。
 アメリカへの輸出は、2006,2007年に17兆円近くまでに拡大したが、2008年から大きく落ち込んでいる。
 中国とともに、韓国・台湾への輸出も2000年代に拡大しており、我が国での景気の緩やかな拡大をもたらした。
 いずれの国についても、リーマンショックの影響により、2008年に既に減少に転じ、2009年に大きく落ち込んでおり、その後2010年には反転している。特に中国については、2010年に2008年の額を超えている。


 東アジア各国との輸出に次いで、タイ、シンガポール、マレーシアなどASEAN諸国への輸出も着実に増加している。


 輸入に関しては、中国からの急増が目立っている。アメリカからの輸入は概ね横ばいで推移しており、2002年以降は中国を下回っている。
 また、近年は、中国からの輸入が輸入総額のほぼ1/5で推移しているが、これは、その他の発展途上国からの輸入も中国同様に伸びていることを示している。ただし、石油価格の変動等も含まれていることに留意が必要である。


 輸入についても韓国、台湾とともにインドネシア、タイ、マレーシアなどからの拡大が著しい。


 以上のような推移の結果、2010年の輸出の国別構成比では、中国19%(香港を加えると24%)、アメリカ15%、韓国8%、台湾7%で香港を含めて、全体の半分を超えている。
 また、アジア地域の総計でも全体の半分を超えるに至っている。


 2010年の輸入の国別構成比では、中国22%、アメリカ10%、オーストラリア6%、サウジアラビア5%、アラブ首長国連邦4%、韓国4%で全体の半分を超えている。





図は、横軸に開始期の構成比、縦軸に期間中増減率がとってあり、各国の色付けした面積は、増減寄与度に相当する。なお前半、後半の横軸の幅は輸入総額に概ね比例している。

参考


品目

 輸出について、地域毎の品目別構成を見ると、いずれの地域でも、機械類の輸出が過半を占めている。このうち、アジア以外では輸送機械(自動車等)が最も多くなっている。アジア向けでは、一般機械、電気機械がそれぞれ20%程度を占めており、世界の製造基地として発展を続けていることを示している。


 輸入では、鉱物がかなり多く、特に中東(石油)、大洋州(鉄鉱石)では、殆どがこれで占められている。
 アジアについては、一般機械、電気機械がかなりを占めており、いわゆる水平分業に向かいつつあることを示している。
 北アメリカで、動植物製品が約20%を占めていることにも留意が必要であろう。


対中国貿易

 中国への輸出の品目別推移では、中国の経済活動を支える資機材として、電気機械、一般機械、金属がなどが、特に拡大している。


 中国からの輸入の推移を品目別にみると、1980年代には鉱物が最も大きかったが次第に減少し、1990年代になって衣服、編物が次第に拡大し、1990年代後半には電気機械が急速に拡大し、さらに2000年代に入って一般機械が急激に拡大した。
 なお、衣服、編物について2010年に回復が見られないのは、他地域への移行が進んでいる結果かもしれない。


 なお、中国の経済的成長にともなって各種の資源の需要が飛躍的に拡大し、世界全体の中でも大きな比重を持ってくる。このことがもたらす厳しい意味合いについても、十分に認識しておく必要がある。


(統計データ)

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(Mar.06,2011Rev./Nov.04,2002.Orig.)