富山国際大学を囲む自然

 以下の内容は、専門的な学習を踏まえていないど素人の観察と推測である。
 間違いが多々あることと思うが、諸兄にご指摘をいただければ幸いである。

図鑑編
◎樹木編
◎花木編
◎動物編(脊椎動物)
◎蝶編
◎その他昆虫編
◎キノコ編

☆紅葉
☆冬芽
☆幹

☆植生の遷移

話題編
◎昆虫三題
◎秋の蝶
◎縄文遺跡
◎縄文新道
◎里山再生事業(学園ページ)
 本編は作成途上の部分が沢山ありますが、ご容赦ください。


自然の変遷

 熊野川と常願寺川は大山町上滝付近で山地を抜け、下流域(北側)に複合した扇状地を形成している。このうち熊野川は西北に流れ、神通川と合流している。
 大学は、この熊野川左岸の河岸段丘の台地にある。
 かつてこの地に住んでいた農業に秀でた黒牧彦の名にちなみ、富山市、大山町に広がるこの一帯が黒牧と名づけられ、このうち大山町側が、東黒牧とされている。段丘上を区別する場合には、東黒牧上野と呼ばれる。

 写真は、手前が北側で、落ち込んだ崖地となっており、降りきった場所には熊野川が流れている。向こうが南側で、上りの尾根に続いている。
 右下(北西)の中庭のある建物群はインテックの研修センターで、それに続く林に包まれた建物から左側のグランドまでが富山国際大学となっている。なお、グランドのさらに左側(東側)もある程度まで学園の敷地である。

 
大学周辺の林地観察地点
 @大学会館南西部が手入れされており、道路沿いでもあり最も入り込みやすい。
 Aセミナーハウス周辺も手入れされており、多様な樹種がある。
 B大講義棟U東部はよく整理されたコナラ林となっている。
 C第二駐車場までの道路南部は、学外であるが、道沿いで少し入り込むことができる。
 D第三駐車場周辺は手入れされておらず入り込み難いが、立ち枯れ松の伐採が進められた。
 Eグラウンド東部は荒れた雑木林で入り込み難い。
 F第二駐車場西側が2008年10月4日にきんたろう倶楽部との共同事業により整理され観察地点に加わわりました。
 G縄文新道は林間の散歩道です(北野先生が2009年春に開拓されました)。
 H第1号棟北側の林が2009年5月17日にノエビア富山販売株式会社との共同事業により整理され観察地点に加わわっています。



 稲作の水田耕作が始まる前は、台地上は水害がなく自然の恵みが得れる絶好の居住地であったと考えられる。
 実際に、大学グランドの東側には縄文中期の遺跡がある。

 この地での原生林は温帯性落葉広葉樹林であり、ケヤキ、クリ、エノキ等の高木を核とした雑木林であったと考えられる。
 現在、ケヤキは街路樹として植栽したものがほとんどだが、街路から離れた大木もある。
 クリは、現在も、相当数自生している。
 エノキは、大学本部棟西側に大木がある。

 稲作が始まった後は、居住地は扇状地に移ったかもしれない。しかし、段丘上は、多様な食糧、生活財を得る地として、利用され続けてきたことは間違いない。
 実は、学内には、古墳時代の竪穴式住居跡も沢山あり調査されている。


 ある時期(江戸時代か?)からは炭の製造が始まり、生産体制が整ってくると、20年程度のサイクルの伐採が行われるようになったと想像される。
 これによって、原生林がいわゆる二次林へと変化していった。

 当地では、コナラアカマツの二次林が形成されている。

 大学敷地内の北西部にある二次林は下草が刈られ、かなり歩きやすくなっており、観察には最適の地となっている。
 ただし、マンサク、ムラサキシキブなどの低木は、下草と併せて処理されており、敷地内では探し難い。これは、敷地外の下草刈りがなされていない場所で探す必要がある。

 ちなみに、標高がかなり低ければ、コナラに代わりアカメガシワが繁殖していると予想される。アカメガシワは当地でもかなり多く自生している。ただし、用材とはなり難く、人の手がはいれば伐採されるだろう。
 逆に、標高がかなり高くなれば、コナラに代わりミズナラが繁殖していると予想される。ミズナラは、当地では、ほとんど見かけない。大学から西にかなり離れたところで中程度のミズナラらしい木があるが、コナラの個体変異に過ぎないようでもある。


 富山県ではスギの植林が明治に始まっている。
 しかし、県東部の積雪地帯では、立山スギを利用して、大正期になってからとされる。
 ここ黒牧でも、スギの植林が次第に進められたのであろう。


 戦時中には、この地では、農民練成塾として立山道場が開かれ、さらに開墾が進められ入植が行われた。
 戦後は、法務省の少年学院が開設され、その跡地に富山国際大学が設置された。
 周辺には、同時期に、富山国際職藝学院、インテック研修センター、北陸電工研修センターが開設されている。

 山地の開発(宅地化)は、雨の流出係数を高めるが、当地では調整池を設けるなどして、水源の涵養に配慮している。調整池の機能上、常に満面の水を持つ池ともできず、なかなかデザインが難しい。
 幸い、北側の崖の中腹の湧水は維持されており、環境の指標昆虫となっているムカシヤンマが生息している。


 近年、当地でもアカマツの立ち枯れが目立つようになってきた。
 これは、マツノマダラカミキリの媒介で広がっているマツノザイセンチュウがマツの仮道管を詰まらせることで起こるということだ。
 富山県では、西部から次第に広がってきている。
 マツノマダラカミキリが繁殖すると勢いのある木でも枯れてしまうようだが、林地が手入れされているとある程度の抵抗力は認められるようである。
 ちなみに、遺伝的な抵抗力のある個体の選定が進められ、その子孫の頒布がなされているそうである。

 立ち枯れの直接の原因はマツノザイセンチュウであろうが、より大局的に見れば、人と自然の際どいバランス上のこれまでの二次林が成立しなくなり、新たな遷移が起こっているのではなかろうか。
 駐車場として開発した林地の周囲では陽光を好む樹種が繁茂しアカマツが劣性に立っているようでもある。手入れを怠ってしまった林地では、コナラ、アカマツの代替わりが着実に進まず、本来の極相へと向かっているようでもある。



 なお、コナラについては、カシノナガキクイムシによる立ち枯れ病があり、県内でも次第に広がっている。
 大学の東側の谷間に立ち枯れしたコナラらしい一本の木があるが、これは別の要因であることを願いたい。
 しかし、いずれ近い内に立ち枯れが始まるのではなかろうか。

 さらに、先走った議論になるが、スギの植林地は今後どうなっていくのだろうか。先年の台風で県西部の植林がかなりなぎ倒された。いずれ、この地でも同様のことが起こるのだろうか。

 このように捉えると、いわゆる里山の維持とは何なのだろうか。人の生活を変えていながら、また、地球温暖化が進む中で、これまでの生活の下で成立していた際どい自然を維持しようとする芸当なのかもしれない。
 一つの文化の維持としての肯定もあろう。しかし、いろいろと方向を模索することも必要かもしれない。

 残念ながら、大藪先生のホームページ「東黒牧の里山に異変! クワガタの森が危ない!」という、異変が始まっている旨のレポートがあります。(Dec.25,2008)



 

樹木の紹介

 以下、富山国際大学周辺の樹木の紹介をする。ただし、栽培種(園芸品種)にはあまり触れていない。
コナラ アカマツ スギ ケヤキ エノキ
ミズコナラ シロダモ ウワミズザクラ カラスザンショウ エゴノキ
アカメカシワ リョウブ コシアブラ アオハダ ゴンズイ
アズキナシ キリ クマノミズキ ミズキ ハンノキ
ヒメヤシャブシ ホオノキ カキ クリ タラ
ヌルデ ヒサカキ ネジキ ソヨゴ ウルシ
ハゼノキ ウリカエデ アオキ マンサク ムラサキシキブ
ハイイヌツゲ オオバクロモジ ヤブツバキ ガマズミ クサギ
クヌギ ヤマグワ



  →各樹木等位置図

主木
 
・コナラ
 完伐の跡地に良く生えて成長する木だということだ。確かにひこばえが出やすいようだ。また、炭材として好ましく、人が積極的に残すこともあろう。
 他の樹種についても同様だが、特にコナラは地球温暖化の中で、この地で優勢種として残れるか不安がある。


 
・アカマツ
 アカマツが卓越するのも、用材として利用価値が高いので、残してきたのだろう。
 近年は、立ち枯れが次第に広がっており気になるが、気長に耐性種と入れ替わっていくのを待つしかないのだろうか。
 さらには、薪炭を採取し林床をきれいにするアカマツを育てる文化自身が廃れており、先行きは不透明である。


 
・スギ
 地域種タテヤマスギの識別法は知らない。
 県の西部で台風により薙倒さているが、当地は大丈夫だろうか。マツ、スギ双方が倒れると無様な地になってしまう。



高木
 
・ケヤキ
 街路樹等で剪定などすると枝が垂れ下がり異様に大きな葉をつけたりする。
 むやみに剪定をしなければ、逆さ箒に例えられる形で、葉が比較的細かい木となる。
 大学周辺の巨木としては、街路から離れた所に、独立した木がある。


 
・エノキ
 大エノキが本部棟の西側にある。植樹したかはともかく、標識などに使われてきた。
 東福沢からの道が尾根に届いた所にもあるが、これは、さしずめ「峠の一本榎」として愛されたものであろう。


 
・ミズコナラ
 ミズコナラかどうか、かなり不安がある。


 
・シロダモ
 スギの植林地の中に、結構大きな木が残されている。


 
・ウワミズザクラ
 桜の終わった4月末に、突然、白い花の塔が突き出て、存在に気づく。
 この時期に見渡すと、思いの外、数が多いことにびっくりする。


 
・カラスザンショウ
 木が切り払われた陽射しの地にまず生育して大木となる先駆性樹木だということだ。二次林を開拓したこの地では、かなり沢山生育している。


 
・エゴノキ
 思いの外、沢山生えている。また、ネコノエゴアシが、遅くまでエゴノキであることを教えてくれる。


 
中高木
・アカメカシワ
 標高が下がるとコナラに代わって、アカメガシワが卓越する可能性があるそうだ。
 地球温暖化が進むとこの地もコナラに替わってアカメガシワははびこることになるのだろうか。
 高木伐採後の日向では、いち早く芽生え、かなり多くの幼木を見かける。このため、成木とは別の種と思うこともある。


 
・リョウブ
 白い花にはかなりの匂いがあるが、甲虫、蝶などの多くの昆虫を寄せる。


 
・コシアブラ
 5枚葉の掌状複葉が長い柄について互生しており、見慣れるとすぐ判別できる。


 
・アオハダ
 樹皮の下が青いということだが、どうも、よく確かめられない。


 
・ゴンズイ
 樹皮の模様や冬芽から見て、ゴンズイであろう。
 図鑑での分布が関東以西とあるのがきがかり。


 
・アズキナシ
 きれいに並んでいる葉脈が目立つ。


 
・キリ
 どこにでも生えてくるが、大概、伐採されてしまう。
 この写真の桐は、研究室から見えるものだが、2008年の夏に伐採された。
 ここまで育ったのだが、誰が伐採を決めたのか、小生にはまだ、学園の制度がよくわかっていない。


 
・クマノミズキ
 葉は対性。
 ミズキに比べて、若干長めの葉。


 
・ミズキ
 葉は互性


 
・ハンノキ
 これは福沢の方へ直接下る道の途中で見つけた。


 
・ヒメヤシャブシ
 細かで規則正しい葉脈が特徴。ヤシャブシは、ここまで細かくない。



 
・ホオノキ
 大きい葉と、白い花が目立つ。



 
・カキ
 クリと同じようにあちこちに生えている。


 
・クリ
 あちこちに生えており、秋には収穫できる。
 2007年はあまり集める人がいなく、一人で沢山拾ったが、2008年は結構拾う人がいて、あまり収穫できなかった。



 
・クヌギ
 近くにあって当然と思っていた木をようやく見つけました。
 場所は、片山学園の近く。




中低木
 
・タラ
 2回羽状複葉。
 葉軸に鋭い棘。


 
・ヌルデ
 葉柄に翼。


 
・ヒサカキ
 小型で厚手の似た葉の木がいろいろとあり、判別にあまり自身がもてない。
 ヒサカキは鋸歯があり、サカキは全縁で区別できる。


 
・ネジキ
 幹の縦じまが捩れている。


 
・ソヨゴ
 葉の縁が波打っており、判別できるが、かなり多く生えている。


 
・ウルシ
 多分うるしだと思われる。
 あまり近づいて観察はしないほうがよいだろう。


 
・ハゼノキ
 秋には赤く色付く。


 
・ウリカエデ
 実と葉の形で判別できる。


林床木
 
・アオキ
 林床の低木は、これが主体である。


 
・マンサク
 見慣れると、四辺形に近い葉の形で判別できるようになる。
 付近に、散らばって何本もある。


 
・ムラサキシキブ
 学内にあったものは伐採されたが、丘陵北東斜面の道沿いにあった。
 園芸品種は、コムラサキが多いようだ。


 
・ハイイヌツゲ
 日本海沿岸の種として、多分ハイイヌツゲであろう。


 
・オオバクロモジ
 春先の花ではっきりわかるが、掌状について葉が特徴。


 
・ヤブツバキ
 多分、ヤブツバキであろう。
 ユキツバキは、もう少し標高が高いところにあるらしい。また、網目状の葉脈が目立つらしい。


 
・ガマズミ
 ガマズミには似た種類がいろいろあるようで同定は怪しい。


 
・クサギ
 葉をつぶすと臭い匂いがするとのことだが、小生にはよくわからない。


 
・ヤマグワ
 一見、虫に食べられたような葉の形が面白い。
 丘陵を降りた北側の道沿いに沢山茂っている。