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国際交流 - 海外(国内)研修プログラム

異文化研修(タイ)2016実施報告

現代社会学部 教授 才田 春夫


実施期間 平成28年8月27日〜9月17日(22日間)参加者:10名


参加者

スケジュール


スケジュール

ムラブリでの活動(8月28日〜9月8日)

 びなどを通してムラブリ文化と人を理解する活動を行った。編み物は、女性たちが作っているショルダーバッグの編み方や素材づくり等を学生たちが現地女性から学びながら、新商品につながるアイデアを考えることを主な活動とした。この編み物教室は、現地女性が畑仕事から帰ってから行ったため、4日間のほとんどが夕食後になった。編み方は日本の漁網編みと同じで、難しくはないが、ほとんどの学生が初めての経験だったため、現地女性に手取り足取り教えてもらうこととなった。
 編み物に関しては教えてもらうことが多かったが、染色に関しては学生たちが一歩先を行っていた。 ムラブリの人々は、編み物を独自の方法で染色を行っているが、これはバッグを編む際に紐を一本いっぽん染める、部分染めしか行っていなかった。

この方法は、必要な個所を的確に、しかも簡単に染めることが出来。更に少量の染色材で染められ、大掛かりな道具も不要などのメリットがある。 しかし、服や布などを染めることが出来ないという欠点もある。 そのため、染色を売りにした商品開発にはつながりにくい。 村の子供たちにTシャツ10枚に思い思いのデザインを書いてもらい、それを現地の染色素材であるキハダで染色するという企画を行った。子どもたちは、最初は遠慮がちに葉っぱ、家、などを書いていたが、一人が手形を押すと、こぞって手形をおしはじめた。せっかくの絵が手形で上書きされるなど、デザイン性の無いものになってしまったが、この作業をすることで子どもたちとの距離がまた一歩近づいたように思える。 この点を学生たちは改善すべく「布染め」の提案を行った。 染色したTシャツは持ち帰り、大学祭のユニフォールにすることになった。





(1)村の環境整備ボランティア:

 水源整備、村の清掃活動、トイレ清掃などは恒例行事となった。今年は雨が多く、これまで気づかなかった問題点が明らかになった。その一つが危険な道路である。ほとんどの家は急斜面に建てられており、それぞれの家を結ぶ道路(小道)は舗装されておらず、粘土質なためいつもぬかるんでおり良く滑る。子どもたちは滑る道を楽しんでいるが、お年寄り、妊婦や子どもを背負った女性たちには非常に危険である。私たちも水を汲みに行く際に何度も転んだ。幸いに怪我はしなかったが、せっかく組んだ水が無駄になるということがあった。このような危険な道を整備しようと村の人たちと話し合ったが、今回は資材調達が間に合わず、実施は次回への持ち越しとなった。もう一つの問題点は村民共有のトラック故障である。トラックは数年前にある研究者が提供したもので、農作業や村民の足として使われている。しかし、そのトラックが故障していまい、作業に支障をきたしたため、学生たちが夢かけ資金を使って至急修理することを提案。近くの村から修理工を呼び、無事農作業を継続することが出来た。秋の収穫時期にしかし現金収入が限られるため、学生たちの存在が大きくものを言った。



(2)子どもたちとの交流:

 土日は特に、子どもたちと一緒に過ごす時間があり、日本から持参した風船、縄跳び、シャボン玉などで一緒に遊びながら楽しく交流した。子どもたちが普段行っている遊びは輪ゴムを連鎖にした縄跳び、タイや転がし、プラスチックボードなどに乗って斜面を滑り降りる、サッカーなどである。今回は風船バレーボール、シャボン玉などが学生たちによって加えられた。 シャボン玉は日本から持ち込んだものだけでなく、洗剤に砂糖を加えた手製シャボンの作り方も教えたため、彼らの遊びの一つに定着しそうである。 彼らの吸収力、理解力に驚かされる。

 ムラブリは外部の人間とは距離を置く習性があり、外国人が挨拶しても無視されるのが普通である。そのため初めてムラブリに入った2年前は、大人だけでなく子どもたちでさえこちらが挨拶しても知らん顔をしていた。 しかし、半年ごとに繰り返している子どもたちとの遊び、大人との民芸品づくりや村の環境整備などの協働作業によって、村人との距離が少しずつ狭まっていることが感じられる。 これまで目を合わせることさえ避けていた人々が、通りすがりに声をかけてくれたり、こちらから話しかけると笑みを浮

かべて答えてくれたりするようになった。日本人だけで森に入ろうとすると、自分の仕事を後回しにして先導さえしてくれるようになった。これはムラブリ研究者も驚くほどの大きな変化である。大人でさえこうなのだから、警戒心の少ない子どもたちには更に大きな変化が見られた。私たちが外にいると、わざわざ私たちの近くに来て遊んで気を引こうとしたり、時にはちょっかいを出したりするなどが見られた。以前はお菓子やおもちゃで釣らないと寄ってこなかった彼らが、物欲しさではなく、親しみを込めて近づいてきたことは驚くべき変化であった。この子たちが成長し村を率いるようになると、部外者に対する接し方をはじめとするムラブリ文化が大きく変わるかもしれない。その変化がムラブリにとって良い変化であれば喜ばしいことである。



(3)ムラブリの飲料水調査:

 村人が生活に使っている水は、3つの異なる水源からパイプを引き、自然流を利用して蛇口へ直接、又は共同タンクに貯水されている。 今回はこれらのうち、飲用にも使われている2系統について簡易的な細菌検査を行った。

1系統(A)は前回も清掃を行った、村のすぐ上の山の傾斜面からの湧水。この湧水を2つの沈殿槽を経てパイプで村内へ引いている。飲用、生活水として使われている。 もう1系統(B)は村の下の斜面から常に湧き出ている水で、最もきれいな水と言われている。近隣の村人もバイクや車で汲みにくる。主に飲用として利用されている。我々も過去2年間の活動中、この水をそのまま飲

んでいたが、体調異常は特になかった。 検査方法は、普通寒天培地とX-gal寒天培地にそれぞれ1mのサンプル水を混釈法で、37℃24時間培養を行った。 その結果、一般細菌数はAが56個/mlでBが48個/mlと殆ど変わらなかった。しかし、Aからは大腸菌が検出され、Bからは検出されなかった。今回の簡易検査では、Aは飲用に適さないが、Bはそのまま飲めるレベルだという結果がでた。しかし、今後、上水道法に基づいた詳細な検査を行う必要がある。



(4)Rajamangala University of Technology Lanna Nanでの合同授業:

 飲料水の微生物培養をラジャマンガラ工科大学微生物研究室の実験室を借りて行ったことから、同研究室のPhannaphon Kullama先生から合同授業の申し出があった。今回は私が「古細菌」についての授業を行った。RUTNの学生24名、教員2名、本学学生7名と教員2名が聴講した。この訪問では時間が無く、学生交流の時間が取れなかったため次回の訪問時回すことになった。



(5)ナーン、プ―ファー、バンコクでの文化理解:

 プーファーは、別のムラブリ族が住む観光地化された村である。そのため私たちの活動するHuai Yuak村との比較調査をおこなった。観光専攻学生は、観光地化することの是非や観光地の在り方などの視点から考察を行っている。また、バンコクはタイ観光の中心地でもあり、東南アジア有数の都市でもある。観光、文化、貧富格差など様々な視点からこれらの地域を見ることによって、多くのことを学ぶことができる。



研修を終えて

 ムラブリでの研修は4回目となったが、毎回、驚かされることがある。今回の驚きは食事!これまではキャンプで作るような料理が当たり前で、とりあえず腹を満たす程度の食事だった。参加学生たちは、料理は「得意じゃない」と言っていたので、今回もどうせキャンプめしだろうと期待していなかった。ところが1年女子3名のシェフグループが作ってくれた料理は、期待をはるかに超えた「想像以上のお食事」だった。チーズフォンデュ、鮭のフォイル焼き、親子丼にハヤシライス、朝食にはフレンチトーストなど、もの珍しく美味しい食事を楽しませてくれた。こんな参加者は大歓迎だ。ムラブリの子ども達と楽しそうに遊び、すっかり仲良くなったことに嬉しく思っている。子ども達との遊びや大人からのムラブリの知恵を学ぶことによって、学生たちにもムラブリ社会にも少しずつ変化が芽生えているように思う。共に学び共に成長することに貢献できるよう、今後も継続していきたい。



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